ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

トランプ先生の総合的な学習の時間 4

 生徒 あれ? 今日は前にモニターがあるけど、先生がいないね。どうしたの?
 生徒 今日はリモート授業らしいよ。
 生徒 リモート? 休講でいいのに。そこまでしてやるほどの授業じゃないよー。
 トランプ こらこら、誰だ? そんなことを言っとるのは!ハロー、エヴリワン。久しぶりの授業だが、みんな元気かな。
 生徒 せんせー、今日はどこにいらっしゃるんですかぁ?
 トラ もちろんホワイトハウスだ。
 生徒 えー! もしや、例の軍事パレードのあとですかぁ?
 トラ そのとおり。待ちに待った米国陸軍創設250周年を記念する国民的行事だ。私は軍の最高司令官だから、先ほど祝辞を述べたところだ。いやぁ、いい式典だった。
 生徒 ほんとは自分の誕生日のお祝いをしたくて盛大にやったんでしょう。
 生徒 そうそう、単に内輪に向けて自分の力を誇示する見せ物じゃないですか。みんなから自分の誕生日を祝ってもらって悦に入る。完全なナルシズムですよね。気持ちワル。
 トラ 何を言っとるんだ。これは自国を守ってくれている軍隊に感謝する式典だぞ。こういう記念行事を称賛できないようでは愛国者とは言えないな。
 生徒 せっかく行政機構の無駄をなくすと言って大なたを振るったのに、こんな無駄遣いで一気に放出するなんて、やってることが無茶苦茶ですね。
 トラ こらこら、「こんな無駄遣い」とは何だ。……わかった、イーロンだな、そんなことを吹聴してるのは。
 生徒 イーロン君はさっき早退しました。もう、先生の授業は受けたくないそうです。
 トラ ふん、せっかく効率化省のトップに据えてやったのに、あのお調子者がぁ。
 生徒 イーロン君も、あんなに選挙資金を出して、先生を当選させてやったのに、「この恩知らずがぁ」って言ってましたけど。どっちも、どっちですね(笑)。
 トラ これから減税が恒久化されて、アメリカは世界一の国へと復活を遂げるのだ。私の減税案にまで反対しおって。あんな無理解な裏切り者は放っておけ。
 生徒 それにしても、先生の移民政策のせいで、反対のデモや集会が全米に広がってますけど、いいんですか。
 トラ 愛国心の足りない民主党支持者どもの錯乱だ。何かあったら軍を派遣するから大丈夫だ。
 生徒 そんなこと言って、カリフォルニアに海兵隊なんか派遣するからますます事態がこじれてるじゃないですか。
 トラ ふん、州知事のニーサムが無能だから、カリフォルニアの住民は不法移民に苦しめられているのだ。治安も悪化する一方だし。市民を守るために軍隊を派遣したんだ。何が悪い。これは大統領としての責務だ。
 生徒 先生が州兵や軍隊を派遣するまでは、わりと平和なデモ行進だったんですよ。火に油を注いだ上に焚きつけるなんて、何て乱暴で思慮が浅いんですか。
 トラ そんなことはない。ロサンゼルスで略奪行為が横行しているから派兵したんだ。治安の維持は急務だ。
 生徒 そうやって、気の短い者を焚きつけて、暴れさせ、話を大きくする魂胆なんでしょ。やり方が卑劣ですよ。
 生徒 イスラエルのイラン攻撃の件だって、先生、実は事前に知ってたんでしょ。
 トラ いや、いや、イスラエルには自重するようにと再三言ってきたんだ。イランとは核開発問題について協議中なんだから、絶対やるなよ、と。だいたいのことはルビオに任せてるから、詳しいことは彼に聞きなさい。 
 生徒 イスラエルが使っている武器は米国製ですよ。アメリカにもかなり責任があるでしょう。
 生徒 それに、今回は先に手を出したのは明らかにイスラエルなんだから、イランが自衛のために反撃したっておかしくないはずです。ハマスイスラエルの件では、アメリカはずっとイスラエルの自衛、自衛と言ってきたんだから、今度はイランの自衛って言わなきゃおかしいと思います。
 トラ イランが核保有の準備を進めてきたのがそもそもの問題だ。これにイスラエルが脅威を感じるのは当たり前だ。イスラエルは自国の安全のためにイランを攻撃したんで、ハマスの奇襲とは話が全然違う。
 生徒 それだって、イスラエルアメリカは核兵器を持っているわけで、イランにすれば、イスラエルアメリカの核の脅威があるから、自分たちも核を持たないと対等に渡り合えないと思ってるわけでしょう。全然公平じゃないですよね。
 トラ 君たちは、そんなことばかり言って、私を批判するけれど、愛国心はないのかね?
 生徒 愛国心? うかがいますが、先生にはお子さんがいますよね。お子さんを愛しておられるのですか?
 トラ 当たり前だ。
 生徒 お子さんを愛していたら、何かあっても、決してお子さんを注意したり、叱ったりはしないんですか?
 トラ そんなことはない。不正なことをすれば叱るし、許さないことだってある。
 生徒 どうして子どもを叱るんですか?
 トラ それは、子どもには間違いがあれば反省をして、正しい道を進んでほしいからだ。
 生徒 じゃ、どうして国家のあり方について、先生の方針や考え方には間違いがあると言うと愛国心がないことになるんですか? 子どもの場合と同じだと思うんですけど。
 トラ 私は間違ったことはしない。見ただろ。暗殺者の弾丸だって、私には当たらない。私は神に選ばれた人間なんだ。
 生徒 ばかばかしい。じゃあ、どうして対中国の関税を145%まで引き上げといて、いきなり30%まで下げたんですか。やり方を改めたんでしょ。間違えたんじゃないですか。
 トラ 間違えたんじゃない。それはディールで、上げたら下げるのは最初から織り込み済みだ。
 生徒 は? 中国からレアースをアメリカにだけ渡さないと言われて、ビビったんでしょ。みんな先生のことを「チキン(臆病者)」だって、笑ってますけど。
 トラ チキン? ケンタッキーは好きだがな。昨日も食べたぞ。
 生徒 結局、先生の言う「愛国心」は、実際は「愛トラ」じゃないですか。
 トラ 「もしトラ」「ほぼトラ」「確トラ」の次は「愛トラ」かぁ。君たちもうまいことを言うな。
 生徒 その「愛トラ」に染まって、トランプ先生の歓心を買うことに外交のスタンスをおいている国がありますけど、「忠犬」扱いしてきた国であっても、この先はわかりませんよ。
 トラ 某国のことだろう。大丈夫だ。わが国から自立なんかできやしない。特に政権党はわが国の意向に逆らえば、どういうことになるのか、肌身で知っている。スキャンダルまみれになるのがオチだ。それでも何でも奮起できるようなリーダーはおらんよ。まあ、寝ている子は起こさないことだ。
 生徒 「寝ている子は起こさない」だってさ。じゃあ、僕たちも……。
 生徒 そうね、この教科、高校入試にも大学入試にも関係ないし……。
 トラ おい、こら、みんなの顔が消えていくぞ。どうなっとるんだ?
 生徒 先生、これまで全4回の授業、本当にありがとうございました。先生を「反面教師」として、私たちも日々「愛国心」を培い、国や政治のあり方について考えていこうと思っとります。では、zzzz……。
 トラ こらー、まだ終わりじゃない。まだまだしゃべるネタはあるんだ。今日はこれからカナダのG7に行って、帰ってきたらまた授業をやるからなー。覚えてろー、じゃなくて、きっとだぞー、待ってろー。




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