国民民主党が数日前に打ち出した「若者減税法案」に違和感をもった人は少なくないと思います。どうして「30歳未満」にだけ税の優遇が必要なのか。公平性を本旨とする税制の変更にあたって、客観的なデータをもってその必要性を示すのならばまだしも、「若者を応援することが日本全体の元気につながるし、頑張っている若い人を応援したい」というレベルでは、選挙目当てにしか見えません(たぶんそうでしょう)。対象から除外されたかたちの30代40代は「(20代までは応援したいけど)あなたがたは応援したくない」と言われているわけで、これはおもしろくないでしょう。NHKの世論調査によれば、国民民主党の支持層は年代的に40代以下が多いようですから、この面からもあえて支持層を分断するようなことをする必要があるのか、(一人ないし数人の思いつきでなく)党内できちんと議論した上での政策提起なのか等々、大いに疑問です。
「氷河期世代だけ徹底的にイジメられるの何なん?」国民民主党・若者減税法案の“30歳未満縛り”に反発の声 | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛み砕け
政党支持率 自民党29.2% 国民民主党8.4% 立憲民主党7.5%「支持政党なし」が最多の35.7% NHK世論調査 | NHK | 選挙
今朝の毎日新聞の「日曜くらぶ」でも松尾貴史さんがこう書いています。
松尾貴史のちょっと違和感:政治家の発言 近ごろ目立つ無責任さ | 毎日新聞
……国民民主党の玉木雄一郎代表が、参院選が近づくこのタイミングで再び「消費税減税」に言及し始めた。これもあまりにご都合主義だと思う。政治家の発言や行動が選挙のタイミングに合わせて変化するのはよくあるが、彼の場合、あからさまで度が過ぎていると感じる。
国民民主党は、昨年の衆院選で「消費税を時限的に5%に引き下げる」「インボイス制度廃止」を明確に掲げていたし、それを大きく書いたポスターも記憶に残っている。中小企業や国民の負担減を訴える政策として、有権者の一定の支持を得たために議席を伸ばしたのだろう。ところが、その後は与党の別働隊のような存在となり消費税減税もインボイス廃止も「なかったこと」のように息を潜めた。企業・団体献金に至っては、与党に擦る寄り「温存」と批判される状態になってしまった。
しかるに、参院選が近づく今になって再び消費税減税などを前面に出そうとするのは、選挙を意識した「票目当て」としか映らない。実際に、玉木氏は過去にも経済対策として減税を強調していたのに、近頃はまるでトーンダウンしていた。2023年9月の記者会見では所得税減税や消費税減税を提案しながら、最近の与党との交渉では「年収103万円の壁」の是正に議論がすり替わったのか、消費税やインボイスの話題が出たとは聞こえてこなかった。今回も、経済状況を見て再度主張し始めたような体裁をとっているが、そんな短期間に庶民の生活が苦しくなったわけではなく、困窮は長年かけてじわじわと悪化してしまっているのだ。
与党との交渉の中で消費税減税の優先順位を下げざるを得なかったのかもしれないが、選挙前になって再び主張を声高にするのは「一貫性の欠如」や「公約軽視」と思われても仕方ないし、目先の議席優先だという批判は避けられない。……
(4月13日付毎日新聞・14面、「松尾貴史のちょっと違和感」)
加えて、「選択的夫婦別姓」についても、国民民主党は昨秋の衆院選でその実現を公約に掲げながら、その後は議論が不十分とか何とか言い出して後退していますし、「企業・団体献金の禁止」についてはいわずもがなです。キャスティングボートを握る有利な立場からコウモリ外交を繰り返していますが、もし、この先「選択的夫婦別姓」も「企業・団体献金禁止」もぽしゃってしまうとしたら、国民民主党と玉木氏の責任(罪)は大きいと思います。
