ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

修学旅行の行き先変更

 日本は地震の多い国ですが、地震のない国から来た人が揺れに遭遇するとびっくりするみたいです。住んでる我々からすると、大した揺れでもないのに、あわてふためく姿を見ると、逆にびっくりしてしまいますが(笑)、そんな我々であっても、さすがに震度5クラス以上の揺れは別格です。近い将来にかなりの確度で起こると言われている南海トラフ地震はいうまでもなく、いつ来るかわからない大地震への備えは、物心両面でそれなりに必要です。けれど、あの東日本の大震災と原発事故から十二支が一回りしただけで、警戒心というか、事故の教訓を忘れがちになる(忘れさせられる)妙な「世相」(とからくり)もあります。

 地震と比較するには人為的要素の方が大きいのですが、明日から開幕という大阪関西万博の会場である夢洲のメタンガス問題は、以前から指摘されてきたところです。
警告されていた大阪万博会場の「メタンガス爆発」が現実に、甘すぎる防災計画に不安しかない(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)

先週の日曜にまたまた基準値を超えるメタンガスが検知され、大阪市消防局に通報があったというニュースは、万博開幕前の「喧騒」にかき消されがちです。なぜ報道が抑え込まれるのか。通報したのが共産党の議員だとニュースの「価値」が下がるのか?
万博会場“メタンガス”基準値超え検知 通報の市議「いのち吹き飛ぶ恐れ」過去に爆発やパビリオンエリアで検出も|FNNプライムオンライン

 今朝4月12日(土)付の毎日新聞の社会面は、前売り券がまだ目標の65%しか売れてないことが大見出しで記事になっています。けれども、実際上、報道すべき価値があるのは、前売り券よりメタンガスの方だと思います。それができないのは、オリンピックのときと同じで、「国家的事業」には異議を挟まない大手メディアの横並びと(特にTV・新聞社上層の)取り込まれでしょう。赤旗やフリーの記者たちは、日本国際博覧会協会(万博協会)から現地取材を拒否されているようですが、「大本営発表」以外、報道させないということでしょうか。呆れます。
万博協会による赤旗の「取材拒否」SNS上「露骨だなぁ 何様?」「排除?」「隠蔽?」の声 - 社会 : 日刊スポーツ

 ……と思っていたら、その下に小さいけれどこんな記事がありました。前線の記者さんたちはがんばって仕事をしているのだと思います。
大阪・関西万博:修学旅行先、万博回避 船橋の中学、メタンガス不安視 | 毎日新聞

 修学旅行で大阪・関西万博を訪れる予定だった千葉県船橋市立の中学校が、行き先をユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ大阪市)に変更したことが11日、関係者への取材で判明した。学校側は理由について、会場内でメタンガスが検知されたことなどを総合的に判断したと説明している。
 万博会場では開幕(13日)直前の6日、着火すれば爆発の恐れがある濃度のメタンガスが検知された。2024年3月には会場西側のグリーンワールド(GW)工区にあるトイレ床下の配管ピットにメタンガスがたまり爆発事故が発生するなど、安全面を不安視する声が上がっていた。
 関係者によると、市立中は5月……3年生の修学旅行で関西方面を訪れる予定で、万博会場も行き先に入っていた。しかし、メタンガスの検知を受け複数の保護者から学校側に「万が一のことが不安なため、安全な場所に変更してほしい」と要望があった。学校側は11日に保護者会を開き、「安全配慮義務を全うできる自信がない」として、行き先の変更を伝えたという。
 教頭は毎日新聞の取材に「修学旅行は生徒の安全が一番重要な中、安全性が担保できない」と述べた。市立中に通う女子生徒の40代父親は「子どもは『もし爆発したら』と不安がっていたし、親としても万が一、悲惨な事故に巻き込まれたら嫌だったので学校の決断に感謝している」と話した。

 この船橋市の中学校は「安全配慮義務を全うする自信がない」そうですが、万博協会には自信が「ある」のでしょうか。修学旅行は行き先を変更できても、万博はおいそれとそういうわけにはいかない、というのはあります。でも、そもそも会場を(70年の大阪府吹田市の千里でなく)夢洲にしたのは、IRとセットにしようという邪悪な思惑があったからです。今回、地元の子どもたちが大勢招待されていると聞きますが、万博協会はこの子どもたちの安全性をどうやって「担保」するつもりなのか。
 走り出したら止まらない。そして、よく見たら運転席に人(責任者)はいなかった――嫌になるくらい見せつけられたパターンがありますが、今回もこれと同じなのか。冷やかしや当てつけをしたいわけではなく、できうる最善の策をとるべきだと言いたいのです。事が起こってからではもう遅い。



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