ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

トランプ先生の総合的な学習の時間

 久しぶりに戯れ言をひとつ。

 トランプ先生 さて、今日の授業は昨日の続きで、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲン」の2回目だ。昨日は、どうすれば、わが国は再び偉大な国になれるのかという話をしたね。いろいろな手があるが、関税政策について、簡単に言えば、わが国の国民に不当に安い値段でものを売って貿易黒字を増やしているくせに、それに見合った額だけわが国の商品を買わない国は、いわば我々から富を収奪しているわけだ。これは是正しないといかん。わが国に自動車を輸出するんだったら、わが国の自動車も輸入せよってことだ。自動車がダメなら、かわりに鉄鋼でも、小麦でも、牛肉でも、何でもよい。それができないんだったら、黒字になった分、関税を上乗せするから、負担して払えと、こういう話だ。関税収入が増えれば、その分、所得税の軽減にまわして国民に還元もできるし、一石二鳥だ。2回目の今日は質問の時間にしたいと思うが、見たところ何人か欠席者がいるようだな。どうしたんだ?
 生徒 先生、習くんは今日はお休みするそうです。
  ほう、頑強そうに見えるが、風邪でもひいたかね?
 生徒 いいえ、昨日の先生の話には納得がいかないから、授業をボイコットするって言ってました。
  ほほう、なかなか勇ましいことを言うじゃないか。まあ、でも長続きはしないだろう。そっちの席は誰なんだ?。
 生徒 ゼレンスキーくんは、先月、先生と口論になったのを気にしているらしく、今日はお休みするそうです。でも、先生にはあとで必ず電話をするので、居留守を使わず電話に出てほしいと言ってました。
  私はそんな器の小さい人間ではないぞ。相変わらずわかっとらんなあ。そっちの席にも人がいないじゃないか。誰なんだ?
 生徒 プーちゃんです。ゼレンスキーくんと同じ部屋にはいたくないそうです。
 生徒 それだけじゃなく、国際手配されているので、学校に来る途中、拘束されるのを怖れてるんだと思います。
  いろいろと訳ありのやつばかりだな。ところで石破くんはいるか?
 石破 はい。
  どうだ、何か質問はあるかね。
  はあ。私といたしましては、国民のみなさまの声に真摯に耳を傾け、誠心誠意務めて参る所存であります。 
  何だ、それは? そんなことは聞いとらんよ。
 生徒 先生、石破くんは、昨日もしも日本に「トランプ関税」が適用されたら、先生とタイマンはるって息巻いてました。
  そりゃ本当か、石破くん?
 石破 日本の国会では、仮定の質問にはお答えしかねるというのが定番でして、「もしも」の話に私がそのようなことを言うはずがございません。何かの間違いかと存じます。
  ふっ、国会じゃないけど、まあいいだろう。 国際手配と言えば、ニタニヤフくんはいるのかね?
 ネタニヤフ 先生、タニヤフではなくタニヤフです。
  おお、すまん、すまん、いつもニタニタしているから、ついつい間違えてしまうのだ。君の方はよく無事に学校に来られたもんだな。何か質問はないかね?
  いいえ。私は先生と常に同意見。一心同体ですので。
 生徒 とか何とか言ってますけど、ネタニヤフくんの親族にはお金持ちが多いので、盆暮れには必ず先生に心づけを忘れないって聞きました。
  ばかばか、何を言うんだ!
  そうだ、やたらなことを言ってはいかんぞ。
 生徒 それより、先生、ネタニヤフくんのガザくんいじめはひどいと思います。
  何だとー、先に手を出したのはあっちだぞ!
 生徒 日頃のネタニヤフくんの陰湿さに、我慢しきれなくなったガザくんが最初に一発殴ったら、ネタニヤフくんはその後毎日毎日執拗にガザくんを殴り続けてるんです。こんなの黙認してていいんでしょうか。
  黙認していたのはバイデン先生で、私は何とか仲直りさせようと努力しているんだ。
 生徒 でも、ガザくんの住まいを壊してリゾートホテルを建てるっていうじゃないですか。周りの人はみんな怒ってますよ。
  それは仲直りが実現した後のひとつのプランであって、今はそれどころじゃない。ところで、イーロンはいるかな?
 イーロン はい、先生。
  君には臨時で効率化委員を務めてもらっているが、どうかね。クラス役員の「効率化」は進んでいるかね?
 生徒 先生、イーロンくんは、学校で動物を飼ったり、図書室に本を入れたりするのは金の無駄だ。動物は自分ちで飼えるし、本も自費で買えばいい。だから、飼育委員や図書委員はいらないって言ってます。先生もそう思われますか?
  話は全てが出そろってからだな。まだ途中だから何とも言えん。
 生徒 それにイーロンくんは、暮れに先生にすごく高価な贈り物をしたって聞きました。イーロンくんが効率化委員に指名されたのは、そのおかげだって、みんな言ってます。どんな人も、家で動物が飼えるわけじゃないし、本を買えるわけじゃないんです。「効率化」を名目に、お金持ちの目線で学校を動かすのはよくないと思います。
 生徒 イーロンくんは、昨日、関税については、先生と違う意見をもってるって言ってました。
  イーロンが「異論」か(苦笑)。どういうことかね?
  いや、そのぉ、関税はお互いゼロの方が理想だよなって言っただけです。
  そりゃそうだ。何も問題がなければ、私だってそうする。そうでないから関税政策が必要だと言ってるんだ。そうだろ?
  そうなんですけど……。そのぉ、効率化委員を引き受けてから、家業が赤字で、自動車が全然売れなくなってしまって……。
  それは「関税」とは別の話だろ。まあ、しかし、この間君はよく働いてくれたから、そろそろ家業に専念してもらってもいいぞ。
  ほんとですか?
 生徒 それは体裁を繕った解任ってやつですね。
  こらこら、そういううがった見方でものを言うのはよくない。
 生徒 でも、先生、校門の前では先生の言う関税政策反対ののぼりやプラカードを持った人が大勢デモ行進してるんです。中には大きな×印が書かれたイーロンの顔写真まであります。ここ数日の株の暴落で〇百万円も損したっていうお金持ちが何人もいますよ。先生も内心これはやり過ぎたって思ってるんじゃないんですか?
  そんなことはない。大改革には痛みがともなうものだ。今は我慢のしどころだ。いずれ上向く。
 生徒 先生ご自身の一言一言で株が乱高下することが事前にわかっていたら、SNSの投稿に合わせて、株の売り買いをすれば、損失どころか大もうけができますよね。株価が全面安になるような内容を投稿をする前に、先に持ち株を売って、投稿後、安くなったタイミングで買い戻せば、確実に差額が手に入ります。これは自ら公然と「インサイダー取引」をしているようなものです。先生はこの間、株の取引を一切してないんですか?
  ばかな想像はよしなさい。
 生徒 かりに先生ご自身がやらなくても、近しい人にその情報が伝われば、中には儲けられる人もいるでしょう。彼らにとっては確実な儲け話です。でも、その他多くの人は、どのタイミングで先生が投稿するかなんて知りようがありません。
  君たちのたくましい想像力にはついていけないよ。ばかばかしいので、今日の授業はこれで終わりだ。私はフロリダに帰ってゴルフでもしよう。では、みなさん、ごきげんよう

<補記>
 4月9日(水)付の毎日新聞のコラム「水説」(赤間清広・専門記者)にはこうあります。 
水説:「通説」を否定した男=赤間清広 | 毎日新聞

 ……第二次世界大戦につながる主要国の対立は、大恐慌後に米国が自国産業を守るため、高関税政策をとったことがきっかけとなった。
 「高関税は我々に繁栄をもたらさなかった」。大戦時に米国の国務長官を務めたコーデル・ハルはこう振り返っている。日本では「ハル・ノート」で知られるが、孤立主義に抵抗し、国際連合の創設に尽力した人物でもある。
 孤立主義は何をもたらしたのか。ハルいわく、米国内で「売れない余剰商品」を増やし、国外では「他国の恨み」を買っただけだったという。散々な評価だ。
 でも、こうした先人の助言はトランプ氏には届かなかった。
 輸入自動車に対する高関税を発動し、日本を含むすべての国に「相互関税」を課すと宣言した。
 「高関税発言は相手から譲歩を引き出すための脅しにすぎない」という世界の淡い期待は無残に打ち砕かれ、パニックに陥った市場は激しく乱高下している。世界最大の経済大国が再び孤立主義に陥る「悪夢」が現実になったためだ。
…………
 矛盾に満ちたトランプ氏の政策のメッキはいずれはがれるだろう。米国が誤りを認めて修正しようにも、もう時間は巻き戻せない。米国を繁栄させてきた自由主義経済の礎は崩れ、報復関税など「他国の恨み」は増している。
 多くの犠牲の上に築かれてきたのが「通説」(「貿易戦争に勝者はない」)である。それを否定した代償は重い。




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