ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

政治的センス

 石破さん、どうも旗色が悪いというか、昨日報道された世論調査によると、例の商品券配付問題の影響で内閣支持率が急降下していて、毎日新聞の調査では30% → 23%と7%も下落しました。他紙の調査でも同じような傾向です(読売:39→31% /朝日:40→26%)。1年生議員と会食すること自体、悪いとまでは言えませんが、党内基盤の弱さから、ついつい下心が働いたのか、ずいぶんと(政治的)センスのないことをしたものだと思います。
毎日新聞世論調査:石破内閣支持、急落23% 商品券配布「問題」78% 毎日新聞世論調査 | 毎日新聞
石破内閣の支持率急落、“自滅”の「10万円」商品券配布[新聞ウォッチ] | レスポンス(Response.jp)

 日曜には、地元鳥取で石破さんに近い参議院議員が「歴代首相が慣例として普通にやっていたこと」などと擁護するような発言をしたところ、これがやぶ蛇で、かえって議員の世間離れした「特権意識」や「非常識」を上塗りすることになってしまったようです(議員はその後不確かな話だったとして発言を撤回しました)。もっとも、首相の「スキャンダル」にこれまで抑制的だった(はずの)NHKが、連日これをトップニュースで伝えるあたりには、違和感というか、引っかかりも覚えます。党内の一部議員からタイミングよく、退任論が吹き出たところから推測すると、おそらく党内の「反主流派」がメディアに情報をリークしながら、批判的報道を容認ないし促進しているのではと、そう思える面がなくもありません。
 石破さんは(土産に10万円商品券を渡したことを)「法的には正しい(問題はない)が、社会通念上、あるいは道義的な責任」は感じると答えているようです。こっち(国民)からすれば、違法行為も、道義的な問題行動も、政治家の信用失墜行為という意味では同じことなのですが、どうもこの種の(聞き飽きた)へ理屈で逃げ切られる事例が多くて困ります。
 メディアの報道も、たとえば、物価高騰の現下、毎日の生活に大変な思いをしている庶民の感覚からかけ離れているという類いの批判は、ウラを返せば、景気が良かったり物価が安定して生活に苦しむ人がいなければ(目立たなければ)容認すると言っていることにもなるので、付随的な批判としてはありえても、それで押していくというのはあまり筋がよくない感じがします。10万円という商品券の金額を主たる話題にするのも、どうなんでしょう。お土産代として10万は破格ですが、これも逆に言えば、菓子折なら全然OKなのに、という話にもなるので、そもそも政治の世界では(特別)公務員同士が贈収賄と見紛うような金銭や物品のやりとり自体を全否定する論でないと、これまでの金権政治は打破できないように思います。実際、石破さんは参加した1年生議員に「選挙の手伝いに行く」などと声をかけているのですから(その代わり、党総裁=首相の俺を支持してくれよってことで、それを土産が媒介してたら、贈収賄でしょう)。
石破首相:「選挙の手伝い行く」 首相、1期生との会食で 商品券配布 | 毎日新聞

 違法かどうか、道義的にどうかも、もちろん問題ですが、個人的には、そもそも石破さんに「政治的センス」が欠けているところが一番の問題だと思います。出身地で山火事が拡がって大変なことになっているのに結婚発表した野球選手がいて、この人にも同じものを感じましたが、政治家だったら、この人は我々国民の方を向いている人だと思ってもらえるかどうかはことさら重大で、近辺で何か事が起こっても泰然としていられるかどうかは、そうした「地盤」があるかどうか、そして、どういうことをしたら「地盤」を失うかについて敏感かどうかだと思います。くわえて「これはちょっとやめといた方が……」と諫言する人が近くにいるかどうかも大事でしょう。そういうのをひっくるめて「センス」が問われていると思います。(言わば)10年以上遅れて誕生した石破・自民党政権ですが、賞味期限切れだったかどうかはさておき、少数与党というハンデを背負わされたことだけが、今の苦境の原因ではないかも知れません。

 違和感ついでに、もうひとつ別件について書くと、米国のトランプ政権の関税政策をめぐり、日本を除外するよう働きかけるため、政府要人が訪米して交渉に臨み、その行方に注目する報道が先週あたりずっと続きました。しかし、ずっと引っかかりを感じていました。なぜ日本だけ除外なのか、と。
 自動車に25%も関税をかけられたら日本の自動車関連産業には確かに「大打撃」でしょうけれど、日本だけは対象国から除外してほしい、除外してくれるのでは、という希望がどうして通る(叶う)などと思うのか。そんな虫のいい話があり得るのか。これでは他国のことはどうでもいい、眼中にないと言っているに等しいのですが、この抜け駆け的な交渉姿勢を少しくらいは恥と感じないのか、と思いました。日本はアメリカ経済に貢献しているから除外してもらえるのでは(本当か?)とのもくろみから、(冗談でなく)実際に交渉に行くところが何とも滑稽に映りました。他国がどう思おうが、関係ない、まずは「国益」だと――それで「実(成果)」が上がれば、結果的に「政治的センス」があったという評価になるかも知れません。が、実際のところは、米国の商務長官から先週末、日本も対象国であることに変わりはないとダメ出しされ、「どこかの国の車に関税を課すなら、全ての国に関税をかけなければならない」「それが公平だ」と一蹴されてしまったのです。まあ当たり前だと思います。どっちの話がわかりやすいかは歴然としていますから。
 日本政府には、自国だけ救われたいではなく、その関税政策は世界貿易の面からよくない、まちがっていると言ってほしかったところです。それでは日本を含む各国に悪影響が及び、やがては米国自身にも跳ね返って来ることになる。つまりは害悪はアメリカにも「公平」に及ぶことになるのであって、アメリカだけが得をするなんてことにはなりませんよ、と――でも、そう警告しない、できない、この国の「属国」ぶり、米国-日本の軸でしか世界をとらえない(情けない)姿勢を改めて見せつけられた思いです。これは石破政権云々というより日本政府の「センス」なのかも知れませんが……。
アメリカ、自動車25%関税は日本除外せず 商務長官「公平に」 - 日本経済新聞




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