今日は短く投稿します。
父親が死んでだいぶたちますが、「遺物」の整理がまだ終わっていません。今年こそと一念発起して、先月から勤しんでいますが、まだ終わりません(笑)。母親もそうでしたが、基本的に物を捨てない人(たち)なので、ある場所に物が増えると場当たり的に別の場所に水平移動をして、山になるとまた別の場所に、というのを繰り返してきたらしく、家を新築してから30数年程の間に積み上がった「品々」があちこちにあって、行き場を失ったあるときに、倉庫にまとめて「突っ込んだ」という趣です。もう使えなくなった仕事の道具や単なるガラクタに混じって、今で言う「個人情報」満載の書類が大量に出てきたりすると、逐一「目視」で確認しなければならず、なかなか先に進みません。ほぼその繰り返しです。たまに元気だった頃の写真などに出くわすと、少しホッとします。父親と母親が初孫を家で抱っこしたときの写真があったのですが、思わず笑ってしまいました。慎重に抱きかかえて緊張しているせいか、二人とも笑顔がいまいちぎこちないのです……。
写真を見ていて思いました。1980年代、90年代、2000年代、10年代……と、それぞれの「時代相」のようなものがあるなあと。人間についても、同じ人ですから過去の自分がまったくの「別人」ってことはありませんが、しかし、ものの考え方、感じ方(それにともなう行動)は生きている時代によって変化しているでしょう。たとえば、1980年代に酒気帯びで平気で車を運転していた人でも、ほとんどの人は今はそんなことはしませんし、トランスジェンダーにしても当事者・関係者はともかく、1980年代に今の時代のような共感的な理解や認知度があったかというと、今から振り返ると、自分と自分の周りには皆無だったと言わざるをえません。
この変化を「進歩」や「改善」と考えるかどうかはさておき、前の時代の状況を踏まえて今が積み重ねられているのは確かです。その点は、小生の父親の遺物というか荷物も同じでしょう。酒気帯び運転がなくなってきたのも同じで、重大な交通事故で大事な家族を失った遺族の声が反映されて、法律が厳しくなったことが背景にあるでしょうし、トランスジェンダーが認知されるようになったのも、個々の人権に意識が向けられるよう、世論(公論)が形成されてきたからでしょう。「時代相」というのは地層と同じで、その積み重なりの上に2020年代の現在が乗っかっているということだと思います。
そう考えると、過去の「時代相」とまったく無関係に現在(の「時代相」)が存立しているわけではないし、積み重なりの順番をすっ飛ばして過去の「時代相」を現在に無条件に適用させるわけにもいきません。それは「時代錯誤」というものですし、懐古の感情が混入すれば単なるノスタルジー、あるいはレトロ趣味です。しかし、現在こういう「時代錯誤」、というより「錯乱」したことをわりと平然とやっている国があります。しかも、やりたい放題に……。
アメリカでトランプ第2次政権が始動してから1ヶ月余。この間に世情は一変しました。問題はいろいろありますが、他国に自分の国の一部になれと言ってみたり、他国の領土を「所有」すると言ってみたり、当時を生きていないので「時代相」は肌身ではわかりませんが、学んできた限りの知識では、“19世紀の亡霊” が21世紀の現在に甦ったような感じを受けます。こういうのはすでに過去の遺物で現代の世界では全否定されるべき物事だと思っていました。
驚きなのは、ウクライナとロシアの戦争の「仲裁」です。鉱物資源を提供するなら仲裁の労をとってやってもいいけど、嫌ならやらないぞ――「ケンカ(否!これは殺し合い)」の調停の条件に公然と見返り(仲裁料)を求めるなど、これはもう仲裁とは言えないでしょう。彼(ら)にとっては、戦争の和平でさえ手数料が必要なビジネスのようです。しかも自分(たち)が儲かるかどうかの。
廃墟と化したガザに関しては、自ら(自ら!)こんな愚かな(愚かな!)動画まで上げています。
- YouTube
トランプ氏、ガザの「金ぴかリゾート」動画を投稿 住民から怒りの声 | 毎日新聞
……動画を見たガザ住民のムハンマド・ハッサンさん(45)は、取材に「ガザは私たちの土地だ。狂った男にガザを買わせてホテルを建てさせるわけにはいかない」と憤った。イマド・ムハンマドさん(38)は「我々はオリーブの木のようにここに残る。ここで生きてここで死ぬ」と訴えた。
彼は不動産売買のコツはわかるようですが、人から恨みを買うことの意味はわからないようです。物事を目先の損得でしか計れない(彼と彼らの神は拝金の神なのでしょうか)、不幸な大統領、不幸な国です(――遠吠えですけど)。昔を懐かしむんだったら、アメリカの人たちには、19世紀ではなく(知っている人もいないわけですし)、1980年代の*USA for Africaの時代相、時代精神を思い起こしてほしいです。
*USA for Africa:1985年にアメリカの著名なミュージシャンが一堂に会したプロジェクトの名前。アフリカの飢餓救済のためのチャリティーソング We Are The World をリリースした。なお、USAは正確には"United Support of Artists"の略で、合衆国の略称とかけたものとのこと。
