衆院選挙の投開票の結果、裏金議員はじめ与党の「大物」が何人も落選したおかげで与党が大きく過半数割れし、自民党の石破総裁が、今後召集される特別国会で(もう一度)総理大臣に指名されるかどうかわからなくなってきました。日本の政治は一夜にして流動的となりましたが、「安定」していれば問題がないかというと、そういうこともなく(それで自民党議員は「安定的」に裏金づくりに邁進していたわけですから)、事がスイスイと進まないことのデメリットが多少あっても、それは国民全体で「受忍」する必要があるのかなと思います。株式市場等が今のところ悪い意味で過敏に反応していないのは幸いです。
今朝の毎日新聞には、政治部長田中成之氏の署名記事があり、「政治は新たな過渡期に入った。1993年と2009年のような自民党の下野につながるのか……」とあります。15・16年くらいの周期で自民党はある種の危機に陥るとすれば、偶然とはいえ、現象的に似たところがあるのは興味深いのですが、そういうのは専門家に任せて、千葉県の田舎から今回の選挙を見て、気がついたことや気になったことをいくつかメモ書きしておきます。
まず、投票率の低さ。期日前投票は前回より上がっているのに、全体の投票率は前回より2ポイントくらい低いと報道されています。投票率が低いと組織票に左右されて与党優勢と言われてきましたが、投票率が下がってもこれだけ与党が沈んだとなると、組織票頼みの選挙はこの先さらに尻すぼみになっていくのでしょうか。それにしても、有権者の半分近くが投票しないことはもっと抜本的に問題にされるてしかるべきと思います(1980年代まではまだ70%くらいはあったし、2009年麻生自民党内閣が大敗し、民主党政権が成立したときでも69.28%です)。いくらがんばっても100%にはならないとはいえ、ある意味浮世離れした永田町政治の源泉はここにあると思います。
それから個々の政党で言えば、この情勢下に共産党は議席を減らした事実をもっと真剣に受け止めないといけないと思います。国会であれだけ与党政府を追い込む「怖い」質問をぶつけられる能力を各議員が持ちながら、結局批判の域を出ないのは、選挙で勝つ気がないというか、勝てなくともいいと(多少議席が増えればいいくらいに思っている)、そのようにしか見えないのは何とも残念です。今回の選挙では「赤旗」の2000万円支給のスクープ記事が、当落線上にあった自民党の裏金候補たちの「とどめ」を刺したと言っても過言ではないでしょうが、だからそれでよく頑張りましたというわけにはいかないでしょう。共産党は政党であって新聞社ではありませんから。スクープを抜くのが本務ではないはずです。日本の民主主義の前進――それはたくさんの人々が望むことでもあるでしょう――のために共産党はどうあるべきなのか、それがわかっていながら、「相も変わらず」なのは「もったいない」と思います。
総じて、大同団結ができず、そのフィクサー役が小沢一郎氏以外に見えないのが「野党」というか、自民批判勢力の難点だと思います。(自分たちにとっての)「正しさ」を失わないようにするのは大事ですが、それだって場合によりけりでしょう。今回についても、大同団結して与野党の一騎討ちにもちこんでいれば、もっと自公を追い詰めるのみならず、裏金議員を一掃するチャンスだったのに、結局この「程度」で止まってしまったと見ることもできます。萩生田氏をはじめ、「大物」は何人も「生きのび」ました。与党の過半数割れで一応の目標が達成できたと安堵して喜んでしまうと(実際のところ小生もそのこと自体は良かったと思っていますが)、時間がたてば揺り戻しに飲み込まれて、12年前の民主党のように、また立場が逆転することは十分予想できます。
偉そうに書くことではないのですが、「上気」する世相にあっても、必ず冷静にものを見ている人はいるでしょうし、時間がたてば、そういう人たちの見方がweb上に出てくるかもしれません。今はそういうのを見て考えたい気持ちがします。
最後に、カナダ在住(亡命中)の周庭さんが寄せてくれた動画の短い紹介記事を。
香港民主活動家・周庭さんが日本語でライブ配信「投票だけでなく、行動や声で示せば日本はもっとよくなると思う」 | TBS NEWS DIG (1ページ)
