日本のスポーツ選手の才能というか、活躍ぶりには驚かされることが多いのですが、連日伝えられるメジャーリーグの大谷翔平選手はもちろんのこと、ボクシングの井上尚哉選手とか、先日の試合などを見ていると、素人目にも圧巻の勝利で、KOされた相手の選手の倒れ方が「見事」過ぎて心配になります(本当に後遺症とか、大丈夫なんでしょうか)。あとは、スポーツではないかも知れませんが、将棋の藤井聡太八冠もとにかく強い。この人をタイトル戦で負かせる人が出たら、「一大事件」になりそうです。どなたかが、X(Twitter)か何かで、こうした希有な才能と同時代を生きていることの幸運を、何か感慨深くつぶやいているのを見ましたが、どうして同時的にこうした世界的と言ってよい才能が開花することになったのか、偶然とはいえ、「日本人選手、すごいなぁ」と思う反面、少し考えさせられることもあります。
というのも、スポーツ(や将棋)のこの華々しさ、というか個々の卓越したレベルに比べると、その他(特に政治)であまりに低レベルで下劣なことを目にするからです。この落差はいったい何なのか。まあ、比べなければよいのかも知れませんが、それにしても、という感は拭えません。
昨日、立憲民主党の重鎮・小沢一郎衆院議員のつぶやきが記事になっていました。一昨日衆院で自民党の裏金議員を改めて政倫審で審査することが議決され、2月当時、「呼ばれれば出席する」と話していた自民党・衛藤征士郎衆院議員の今回のコメントを受けてのものです。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は15日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、自民党派閥の裏金問題をめぐり、裏金が指摘された議員44人に対する審査を衆院政治倫理審査会(政倫審)が14日に全会一致で可決したものの、応じるかどうかは本人の意思に委ねられていることに言及した。
出席を求められている議員の1人、安倍派最高顧問の衛藤征士郎・元衆院副議長が「党としてのけじめはもう終わってますから」と、否定的な考えを示したとするTBSの報道を引用しながら「赤信号、みんなで渡れば怖くないという感じ。ダラダラ引き伸ばして世論の関心が薄れるのを待ち、『もう十分でしょ』と幕引き。真相は解明されず全てが闇に葬られる。捜査機関も加担。そんな11年で国は利権まみれ。今や倫理観も経済社会もボロボロ。それでもまだ、こんなふざけた政党を支持できますか?」と、怒りを込めた投稿をした。……
小沢一郎氏「こんなふざけた政党まだ支持できますか」裏金問題の政倫審出席に消極姿勢の自民糾弾 - 社会 : 日刊スポーツ
https://twitter.com/ozawa_jimusho/status/1790534101839343619
衛藤議員の発言は小生もテレビで見ました。一昨日の夕方でしたか、偶然目にして、瞬間湯沸かし器のごとく怒りに「着火」して(「瞬間湯沸かし器」ってもう知らない人もいそうですけど 笑)、正直、頭に口汚い言葉が思い浮かびましたね。
記録の意味で以下に発言を文字起こししておきます。
(3ヶ月前)
衛藤:求められれば政倫審に全員さぁ、出席することがいいんじゃないですか。そりゃ当然、うん。
「真相解明と事実を説明する最高の場」だと強調し、申し立てがあれば出席する意向を示していました。ただ、ある自民党関係者は「衛藤さんは、ただのアピールで、本気じゃないよ」と。
正式に審査対象に決まる中、改めて尋ねてみると、
衛藤:党としてのけじめはもう終わってますから。こういうようなこと(政倫審)に対する対応ということについては、私はけじめは終わっているんじゃないかと思ってますけどね。……
記者:今回44人全員の総意がまとまらなければ、衛藤さんご自身が1人で出られるとか、そういったことはないと……。
衛藤:そういうことをしてはならんと思っています、私は。私だけが飛び出していって(笑いながら)、私だけがやるぞーって(拳を上げて)言ってね、そういうことはしません、はっきり言って。以上!
“裏金”政倫審44人が審査対象に 早くも出席に“否定的”な声 自民党内「けじめはもう終わってますから」|TBS NEWS DIG - YouTube
安倍派最高顧問だった衛藤征士郎氏、裏金議員は「政倫審に51人全員が出席すべきだ」 自分も「もちろん出る」:東京新聞 TOKYO Web
こういう人が派閥(安倍派)の「最高幹部」と呼ばれ、かつて衆院の副議長を務めていたわけですから、唖然(慄然)とします(大分2区の有権者のみなさん、これ何とかしてもらえませんか)。こうした醜態を何度も何度も見せつけられて、政治家って汚い、政治ってイヤだなと思う人が増えるのも無理からぬところはあります。決して個人の生活と政治は別個ではないと思いますが、こんな世界にかかわるくらいなら、自分の興味のある世界に思う存分エネルギーを注いだ方がいいと。そういう世界から希有な才能が生まれ、育まれて、周囲もまたそれを支援するという「好循環」がスポーツ(や将棋や、その他)の世界にはあるように感じます(こじつけでしょうが)。メディアもそういう報道の方が「楽しい」でしょうし……。
しかし、社会のあり方として、スポーツと政治を並べた場合、スポーツは一級で政治は三級あるいは四級以下なのに、全体として人々がそれでいいと思っているというのは、奇妙な話だと思います。なぜ、政治も一級を目指さないのか、あるいは、一級でないことに不満をもたないのはなぜなのか。外国の人から見たら、なおさらでしょう。何で、こんなスーパープレイヤーを生み出す国で、政治家はこんな低劣なことを言って平気でいられるのかと。何で大谷は母国の小学校にグローブを贈るのに、岸田首相は(というか日本国は)たとえば子ども食堂など、貧困対策を民間任せにするのかと。冷静に考えたら、アンバランスに思えることはいろいろあります。
小沢氏も書いているように、そうやって汚くてイヤなものを忌避し「野放し」にしてきた結果が、利権まみれの政治、倫理の欠如した政治家の横行、今後ますます制御できなくなりそうな経済社会、そして個々人のますますの貧窮化だと思います。「それでもまだ、こんなふざけた政党を支持するのか?」――怒りを持続させることの大切さ、そのきっかけを与えてくれた衛藤誠士郎衆院議員には、改めて「感謝」を申し上げ、有言実行を求めます。以上!