ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「時間がたてばどうせ忘れるんでしょ」

 我が家の隣にある大銀杏が3年ぶりに美しく色づいて、快晴の空に一段と映えてうれしくなります。秋の深まりを感じます。
 しかし、政治世界の方は季節の移ろいを感じるような世界とは隔絶されていて、不快なことが多いです。

 先週10月24日、事実上更迭された「記憶喪失」の「壺師」山際前大臣ですが、今度は10月28日付で自民党の新型コロナ対策本部の本部長に就任したとのこと。

 気分が下げられたので、戯れ言をひとつ。

 枕草子
 春はあけぼの。……否、うそはダメ元。どうどうしらばっくれし山際、
 少しは懲りて、ざわめきだちたる衆目、細田になびきたる……

と思いきや、さにあらず。最近は細田の「ほ」の字も出やしません。山際前大臣や自民党にも「少しは懲り」るところがあったのか疑わしいものです。この厚顔ぶりには呆れます。
「国民をバカにしている!」山際前経済再生相の党コロナ本部長就任に怒りの声 小沢一郎氏「もはや喜劇」― スポニチ Sponichi Annex 社会
「記憶にない」連発で辞任の山際前経済再生相がコロナ対策本部長に「自民党、コロナ対策やる気ねぇだろ」猛批判 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]

 旧統一教会の被害者救済を目指す新法づくりの協議にも暗雲が立ちこめてきました。与党側が今国会での成立を見送る考えを示したというのです。
 昨日11月2日のテレ朝では、こう報道されています。
【旧統一教会】被害者救済に黄信号? 新法先送りか 総理と幹事長に“温度差”

……先月、立憲民主党日本維新の会が共同で国会に提出した「被害者を救済する法案」。
 岸田総理大臣「政府としても法律の見直しを考えていると申し上げたが、御党(立憲民主党)から提出された法案を拝見すると、そこと重なる部分ももちろんある」
 自民党は立憲、維新と「協議会」を設置することで合意し、公明党も含めた4党で法案成立に向け協議を進めていました。
ところが…。

 立憲民主党・長妻政調会長「今国会での(法案)成立を期すと、こういう大目標で設置された会議だが、今国会は無理というような趣旨の発言が(与党側から)ありました

 一体、何があったのでしょうか。旧統一教会を長年取材する鈴木エイト氏は…。
 鈴木「『マインドコントロール』を法律に盛り込む難しさに与党側が尻込みしてるのかな」
 被害者救済法案には「マインドコントロールのもとでの高額献金の禁止」などが盛り込まれていますが、自民党は「マインドコントロールをどう証明するのか」などと指摘していました。
 自民党ベテラン議員「裁判所が『マインドコントロールされている・されていない』を判断するための材料の候補は最低でも提示しないといけない。精神科医のなかでもマインドコントロールが解けた瞬間の見解は色々ある。議論しながら丁寧に進めていこうということだ」
 ただ、鈴木エイト氏は「被害者を救うために時間は掛けられない」と訴えます。
「マインドコントロールという言葉を使わなくても、色々できたはずなので、そういうところからアプローチしてほしかった。周りがいかに被害に気付いて食い止めていくかがポイントなのに、その肝心なところが先送りになってしまうのはちょっと…」

 4党による協議会で実務を担う自民党・若宮幹事長代理は2日…。
 若宮「与党側が新法については困難だからやらないというような報道ありましたが、全く違いますのではっきり申し上げさせて頂きたいと思っています」
こう強調しましたが、今国会での成立は厳しいとの見方を示すのはジャーナリスト・後藤謙次氏です。
 後藤「自民党は今国会で結論を出すつもりがないのでは」と指摘します。茂木幹事長が“消極的”だというのです。
 そのわけは…。
 後藤「日本に多くの宗教法人がある。自民党を支持している宗教法人、これらが皆、非常にこのこと(法案)を心配している。自民党内でブレーキが掛かってきた。それと、そもそも(4党)協議会が作られたきっかけは立憲と維新が共同で法案を提出したこと。野党ペースで始まったことは自民党全体としてはやや面白くない」
立憲民主党は長妻政調会長をあの場に出した。これに対して自民党側は茂木幹事長の周辺で組織されている。若宮幹事長代理、宮崎幹事長特別補佐という二人の側近を送り込んだ。萩生田政調会長が深く関与できないというシステムになっているので、(自民党の)政策責任者が関与できないことは深く議論を詰めていくという構えそのものがなかった」

 一方で「被害者救済法案」の見送りは世論の反発を招きかねません。岸田総理の決断は…。
 後藤「岸田さんにしてみれば旧統一教会問題、自分の内閣支持率に直結する話なので自ら積極的に指導力を発揮して何とか取りまとめたい。一方、茂木さんからしてみれば慎重に審議せざるを得ない。最終場面で岸田総理が何らかの政治決断をして、自民党執行部に具体化を求める・迫るということもまだ選択肢として残っているのでは」

 自民党の厚顔ぶりや後ろ向きの姿勢には潮目を変えようとする意図を感じます。もちろん世論の反発が(予想より)強ければ、また協議のテーブルに戻る(ふりはする)でしょうが、野党ペースで新法がつくられていくとなると、旧統一教会側からの反発は必至で、このままではネチネチとスキャンダラスな情報を小出しにされながら揺さぶりをかけられ続けることになる。自民党にとっては世論と旧統一教会と、どっちの反発がより痛手が深刻かということでしょう。とりあえず今のところ選挙はありません。
 作家の平野啓一郎さんが指摘するように、「ほとぼり冷めるまで粘って、提灯持ちたちが『いつまで統一教会のことを~』と言い出すのを待って、あとはうやむやにして今後もズブズブという算段」でしょう。自民党が「厚顔」なのは、単なる世論無視や空気の読めないダメ政党だからではなく、普通の人からするとあり得ないほど狡猾だからだと思います。
 「時間がたてばどうせ忘れるんでしょ」――これは自分と世の「飽き」と「あきらめ」との「闘い」なのかもしれません。





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