政府が国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現行の20歳以上60歳未満の40年を延長し、65歳までの45年間とする検討に入ったという報道がありました。破綻しかけている年金財政にメスを入れざるを得ないのは、以前から言われてきたことですが、常に場当たり的でしたから、実際にこうした具体策が出てくると、直接負担(被害)を強いられる側から当然不満は出ます。
国民年金、納付45年へ延長検討 | カナロコ by 神奈川新聞
10月16日付「Smart FRASH」の記事に紹介された一般の声より。
国民年金「納付45年に延長」案でSNSに集まるブーイング「ほんとにどう生きていいのかわからん」 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
……相次ぐ物価高騰や、増え続ける税金で疲弊する人々に、納付期間延長はさらなる打撃となる。SNSでは、今回の報道に絶句する人が続出した。
《インフレすごい上に金融所得もさらに税率上がるかも?みたいな話もあり、厚生年金は国民年金の補填に使いますとか国民年金の支払い65まで伸ばしますとか消費税増やしたいなとか老後は貯金額に応じて介護保険料や医療費上げますとかも言われてるのほんとにどう生きていいのかわからん》
《こうやって取れ(ママ)やすいところから取っていくんですね 岸田政権って資産所得半減プランを掲げてたんでしたっけ》
《年金45年払わないといけないとか無理 そもそも年金と保険であんだけ取られてるのにおかしくない?それなら金額下げてよ…年金貰う前に死んじゃうよ…》(太字は当方が施したもの)
yahoo記事へのコメント(ヤフコメ)を見ると、現役世代にしわ寄せをする制度変更の限界、何よりも国会議員がまず身を切らないことを批判する内容が目立ちます。いくつか引用させてください。
国民年金「納付45年に延長」案でSNSに集まるブーイング「ほんとにどう生きていいのかわからん」(SmartFLASH)のコメント一覧 - Yahoo!ニュース
sk
国会議員の無駄な定数を省いて下さい。収入と支出の関係から原資を増やさないと給付が減るという一般論はその通りでしょうが、未納者の対策、無駄な支出など側からは見えない国政における支出のロスをしっかり減らして下さい。これらをしっかり検証して、その結果をキチンと外部公表して下さい。やるべきことがやられた(ママ)いないのでは、という国民の疑問を払拭して下さい。
納付義務の延長は実質値上げです。値上げが必要ならその理由をしっかり説明すべきで、その説明をしないで強行するのは、紙の保険証をやめてマイナカードを強要するのと同根の発想です。こういうことをしているから、支持率が低迷するのです(指導力がないのも大きいですが)。
moo
一般企業で言えば、売上が下がってるからと言って、経営陣の給与報酬の見直し、各コスト削減を何も検討せず、社員の給与カットを申し出ているのと同等。
補助金支給による事務経費の大幅な負担増。
省庁を地方に置くことによる出張費の倍増。
国会に一度も出席しない議員や、不祥事議員への歳費等。
無駄はいくらでもある。
身を削ってここまでやってます!
だから国民全体でも納得して欲しいとの訴えなら理解はする。
それもやらずして、国民、現役世代ばかり負担増になるのは可処分所得を減らすだけではなく、さらなる結婚離れ、少子高齢化を加速させるだけだと思う。
a54
おそらく自民党や財界は年金制度など無くそうと考えているはずだ。
医療保険でも保険料をどんどん高額にして、負担できない層を抜け出させて民間保険に移るように仕向けている。保険のCMが凄まじいのはその戦略があるからだ。
年金も含めた社会保険料は会社の負担が大きい。これを無くしたいのだ。
公的年金が崩壊すればもちろん会社負担は無くなるし、裕福な国民は民間の個人年金に移っていくのだろう。
こうした戦略の行き着く先の未来図は米国だ。ほとんど無保険で、所得格差によって寿命が決まるような社会だ。
世代論に騙されてはいけない。政府が少子化対策に本気にならないのも、こうした背景がある。ウソのような本当の話だ。
shi
年金問題は、世代間の分断をより深めていく気がする。この種の記事には、通常若者世代が被害者のような反応が多い。しかし、私は今66歳だが、賦課方式の下、団塊世代のためにせっせと納付してきた。そして、いざ自分が受給する年齢に近づいたとき、受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた。さらに、マクロ経済スライドという制度によって、物価・賃金が上昇すれば支給額が調整(減額)されるという立場にある。つまり、先細りの展望しかないわけで、それだったら不景気でデフレの方が、多少でも生活しやすいのではないかと、後ろ向きになってしまう。
富裕層以外の一般の生活者にとって、年金は命の金だと思う。各世代が満足できる制度設計は難しいだろうが、政府は対症療法的な各論ではなく、長期的なマスタープランを国民に示す必要がある。
話の出てくるタイミングが、安倍氏の葬儀(国葬・県葬)が終わった後というのも、明らかに意図を感じます。岸田・自民党政権の「黄金の3年間」は、国民にとっては「忍耐」「苛酷」の3年間なのでしょうか。「突撃ラッパ」でも鳴らされている感じです。
多くの方がコメントしているように国会議員が身を切るべきというのはもちろんですが、しかし、議論の方向として、世代間の敵対憎悪や、結局自分の身は自分で守らなければいけないと、自助や自己責任の方向に走っていくのはどうなのか。年金制度まで新自由主義バージョンに書き換えるのは危うい感じがします。痛みをともないますが、本来の公的扶助を取り戻していく方向は見失わないようにしないと。そもそも、保険料納付期間を5年延長したところで(新たに約100万円もの負担をさせても)、時間稼ぎ、問題の先送り=ツケ回しにしかならないのは目に見えています。上のa54さんの意見がまんざらとも思えなくなります。
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