ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

郷原・鈴木対談 vol.2

 弁護士・郷原信郎さんの動画「日本の権力を斬る!」第166回(8月24日付)を興味深く見ました。ゲストは、「やや日刊カルト新聞」主筆で、今やメディアに引っぱりだこの鈴木エイト氏。概略を文字に起こして、3つほど部分引用しますが、動画全体も是非ご覧いただきたい内容です。

【「統一教会問題」の今後、ジャーナリスト・鈴木エイト氏と語る(第2弾)】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#166 - YouTube

<萩生田・自民党政調会長統一教会
 郷原:政治家のかかわりにもいろいろとレベルの差がありますが、その中でも今一番話題になっている、濃い付き合いの人が萩生田さんという感じがします。今の(萩生田氏の)説明が本当だとは思えないんですけど、どうなっていくと思われますか?
 鈴木:僕は、萩生田さんに関しては、教会側のコントロールが及んでいるんじゃないかなという気がしているんです。萩生田さんに限らず、濃淡の濃い人たちは「関係を断つ」とはなかなか言えないですよね。「党の方針に従って」とか「適切に対処する」とか、あの団体とはきっぱり関係を断つと言えない事情が何かある、としたら、それは何だろうな、と。たとえば、教団からお金をもらっていただとか、これ以上出ると政治生命が危うくなるような事案を教団側が握っていて、保身から、それをバラされたくなければ、教団の解散命令とかに発展しないようにうまく取り計らってくれよと、うまく糸を引いているような気がするんですよね。
 郷原:萩生田さんが教会と非常に深い関係をもっていたと言われている時期は、民主党政権の時代の、「浪人」していた時期ですよね。これは単なる「浪人」ではなく、自民党は2009年の衆院選挙で惨敗して、安倍元首相も、自分の選挙区では勝ったけれども、他の取り巻きというか、親しい(落選した)議員たちの面倒を見られる場合じゃないんですよね。そこで、何とか親しい前議員たちに食いつないでもらうために、あらゆることをやらなければならなかった。その手段のひとつが統一教会だったかもしれないですね。……萩生田さんは、加計学園問題のキーマンだったんですが、加計学園系の千葉科学大学に抱えてもらっていたのもこの時期なんですね。ですから、あらゆる面で、そういうサポートがないと、3年もの「浪人」時代を食いつないでいけなかった。だから、今から思えば、その3年間は無しにしたいと、それくらいのことを思ってもおかしくはないですよね。

反日カルトと自民党が結ぶわけ>
 郷原:先日鈴木さんが出演していたTBSの報道特集を見ていて驚いたんですが、韓国はアダム国家で日本はエヴァ国家で、戦時中まで日本は韓国にさんざん悪いことをしたんだから、その罪を償うために献金をしたり、韓国の男性と日本人の女性が合同結婚式で結婚するのも罪滅ぼしなんだと。こういう教義だと聞いて、そんな反日的な、まさに自虐史観のような教義をもつ団体と、なぜ自民党の保守政治家が、そんな深い関わり合いをもつのかと。私はわけが分からなかったんですが、ここはどう考えていますか?
 鈴木:ここは重要なねじれのポイントなんですが、基本的に保守派の人たちはそういうところに目をつぶるんですよね。でも、真性保守の本当に心ある人たちは、統一教会のそういう面は許せない、そういうのとつながっている政治家はいかがなものかということで、告発される方も多いですね。元々は反共産主義の同志として、日韓で協力している流れがあったんで、それと今の状況を併せて見ていった方がいいのかなと思います。
 郷原:結局、目的のためには手段を選ばないというのが、戦後の保守政治にはあったということなんですかね。
 鈴木:でも、表向きには教団は反日思想を前面に掲げてはいません。内向きの集会とかでは、そういうことを入れてきて、反日思想を信者たちに植え付けることで、(罪悪心から)信者たちがもっと尽くさなければ、と追い込まれていくんですね。
 郷原:そうすると、反日的な思想を認識していた政治家はどのくらいの範囲なんですかね?
 鈴木:基本的に認識はしているはずなんですけど、そこにはあえて目をつぶって、目先の選挙協力であるとか、人員の派遣であるとか、そういう利の方を見ているのかなと思いますね。
 郷原:なるほど、そういうことはあまり考えないことにして、とにかく使えるものは使うと。
 鈴木:政治家が統一教会の人員をここまで使うのは、安倍さんの銃撃事件が起こるまでは、政治家にとっては、コンビニの感覚で、気軽に使ってたんですね。かなり多くの政治家たちが、なぜ、こんなに騒いでいるのか、今までこんなに付き合ってきたのに、今さらこんな問題にされて、どうしよう…という感じの狼狽はあると思うんですね。
 郷原:今の選挙制度のもとでは、ボランティアをかなり熱心にやってくれる人がいるというのはありがたいと思うんですね。
 鈴木:地方議員は特にそうですね。
 郷原:票としては、全国で確か6万とか8万とかと言われていますけど、票数を何倍も上回る労力というのがありがたいと思うんですね。今の選挙制度というのは、誰かが汗をかいて選挙運動をしてくれないといけない。それと、お金がかかる。この二つをきちんと担保できた候補者でないと当選できない、衆院小選挙区だとそうですが、比例も、確実に投票してくれるという組織票が必要という選挙制度になってしまっているところに、統一教会という組織がつけいる隙があったんだということだと思うんですね。

<教団の解散命令は出せるのか>
 郷原:法的に今の教会の活動をどのように問題にできるのかということがありますよね。
 鈴木:被害者の救済の面と、政治家と統一教会の関係という問題と、あと一つ、教団をどうするか、という問題がありますね。
 郷原:教会に対して、法的にこういう措置がとれるというものがあれば、それを前提にして、いろいろなことを調べていって、批判して、ということが非常にやりやすいんですが、教団側のやり方が巧妙なのは、法的に組織の問題が立証されにくいように、いろいろな工夫をしていますよね。
 鈴木:今、壺とか印鑑を大っぴらに売っているとすれば、やりやすいんですけど、そうじゃないんですよね。
 郷原:そこなんですね。そうすると、何を根拠に旧統一教会の反社会性を立証し、どういう理由で法的に正していくのか、ここはかなり難しいような気がするんですね。特に、宗教法人法での解散命令の要件というのは非常に厳しいんです。
 鈴木:現状で、ここまで報道がなされて、容易に解散命令までもっていけるのか、政治家が追及されて、そういう方向に彼らを追いつめていけるんじゃないかという空気があるんですけど、そうではないですね。
 郷原:解散命令の一つは、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」こととなっていて、いろいろと要件を厳しくしてあるんですね。これは憲法の信教の自由があるからで、おそらく(教会側は)これを目一杯主張してくるでしょう。霊視商法で解散になった明覚寺事件のように、個人的に宗教的なものを立ち上げて、誰が見ても、教義の実体もなく、単にそれをネタにして金を吸い上げているだけだと、そういうことが実証できるというのなら、解散命令も出せるでしょうが、統一教会の場合はもっと深くて、宗教法人性はあるんですよね。ただの隠れ蓑ではない。それが反社会的で、カルト的なんだということなんで、これは「宗教法人」とは何ぞや、という深いところまで入り込まないと、解散命令というのは難しいし、そういう着地点はなかなか見通せない。……しかし、何より許しがたいのは、日本や日本人を貶めるような教義で、それによって日本人信者が何百億、何千億というお金を収奪されて、破産をしたり、家庭が崩壊したりという目にあわされた。日本が被害に遭った事件じゃないですか。……長い道のりがあるわけですが、これを解散命令にもっていく前段として、保守政治家はこれを許せますか、さすがにこれは容認できないでしょう。これだけ事実が明らかになっているんですから、保守政治家の集まる自民党は、岸田総裁が、こういう教団とは絶縁すると、決別宣言を明確に出すべきじゃないか、そこから始まるんじゃないかと思うんですね。


vol.1は以下です。
【鈴木エイト氏に聞く「旧統一教会に関する『確かなこと』」】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#157 - YouTube




↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村