ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

自民党話法あれこれ

 メディア記者のツッコミ方の問題もあるのですが、最近の国会議員、とりわけ自民党議員の「話法」は、改めて酷いものが多いと思います。誰か、指南している人でもいるのかも知れませんが、虚偽、責任転嫁、黙秘、逆ギレ、恫喝……と、まるでかつて学校で教員から注意や指導を受けたときに見た、目前の子どもたちが駆使していた「言い逃れ」術を、大のおとなが堂々と実演しているかのようです。それでも、小生の知る限り、子どもたちの大半は、最終的には、自分がやりました、自分が悪かったです、と認めるのですが、この「おとな」たちには、そういうことがほぼありません。たまに「謝る」ふりをすることもありますが、それとて「国民に誤解を招いたとすれば」という仮定(条件)つきで、この期に及んでもまだ、他人のせいにします。
 もし、同じことを国会議員でなく、たとえば、芸能人がやったら、社会的にどういう制裁を受けるのか、そういう意味でも、自民党の国会議員は襟を正し、責任感と矜持をもたなければならないし、メディアも国民の代表として、もっとツッコミを入れないといけないし、有権者も(統一教会による自民党議員の選挙応援を凌駕して)問題議員を落選させなければいけないと思います。

 数が多すぎて類型化もできませんが、最近Web上で目にした自民党議員の「話法」をいくつか取り上げてみます。

河野太郎
「月内にも霊感商法についての検討会を設置するよう消費者庁に指示した」
 これは戦術的で、「高等」な部類です。人気取りのために一般ウケしそうなことを言っていますが、実際のところ、旧統一教会は、一般消費者に対する霊感「商法」よりも、信者による(自発的)寄付と(自発的)物品購入に集金機能の重点をおいているので、消費者庁に上がってくる事例は、かつてと比べれば激減しているはずです。つまり、メディアや世間が騒ぐほどに、旧統一教会霊感商法になど力は入れていない(だから非難は不当だ)という結論になるのがわかっていて言っているわけで、これは統一教会問題の鎮静を図りつつ、「やってる感」もアピールしようという、「話法」というより、大臣職に復帰して、もう一度「総裁レース」に臨もうとする彼らしい「手法」だと思います。
霊感商法の検討会設置を指示 河野消費者相、初会見で表明 | 毎日新聞

高市早苗
「旧統一教会と関わりがある雑誌だとは知らなかった」
永岡桂子・新文科大臣の「統一教会は私聞いたことがないですね」(12日)というのもありますが、無知を装う「しらばっくれる」という話法です。内田樹さんがこの話法が政治家のトレンドになっていくような話をTweetしていましたが、慧眼でした。これは、状況証拠を突きつけられれば、だいたいは崩れるのですが、それでもなお無知を装い続けると、「何でそんなことも知らないで政治家やってんだ」と「無能」の烙印を押されかねません。「無能」とみなされるのは、政治家にとっては「無知」より痛手でしょうが、こうなると「無恥(恥じ知らず)」に徹するしかないでしょう。高市氏の場合、大臣就任前は黙っていて、就任したとたんに「(今まで)関連の雑誌とは知らなかった」(つまり、関連していることを知った)などと言うのですから、悪質です。関連がわかったのなら大臣職を受けるべきではないはずです。
高市氏、旧統一教会系の月刊誌で対談 「関わり知らず」 | 毎日新聞
普通のニュース速報 : 永岡桂子 新文科大臣(68)「統一教会は私聞いたことがないですね。他の団体の名前いろいろ出てましたけど全然聞いたことがない」

〇簗(やな)和生
「紙でもらえますか」
 5月20日自民党の会合で、LGBTなど性的少数者を「生物学上、種の保存に背く。生物学の根幹にあらがう」という趣旨の発言をしたとして有名になった栃木3区の衆院議員です。このたびめでたく文科副大臣に就くことになったようですが、この発言についてのコメントを求められた簗氏、アドリブで言質をとられるのが不安だったのか、その場から逃亡するための口実だったのか、記者にこう応え、あとでわざわざ「紙(書面)で」回答したようですが、その中身は「会議は非公開のため、会議の内容や発言について、お答えすることは差し控えさせていただきます」です。これなら、その場で、応えられるでしょうに。それさえもしない、できない。今後も、簗氏とのコミュニケーション手段は「紙」なのでしょうか。
https://twitter.com/Lanikaikailua/status/1558027799893807104

松野博一
「総理が仰ったことに尽きる」「今申し上げたとおり」
 記者:(旧統一教会との関係について)今ほど長官の方からお答えがありましたけど、これまでの関係を点検してですね、厳正に見直すということなんですけども、この “厳正に見直す” というのは、どこまでを求めるものなのかをお答えください。関係をもつというのには濃淡があると思うんですが、ある程度なら関係を残すことを認めるものなのか、それとも、一切の関係を断つように求めるのが厳正な見直しなのか、具体的な内容をお答えください。
 松野:総理が仰ったとおり、閣僚一人ひとりが、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との問題…関係を点検し、その結果をふまえて厳正に見直すということであり、そのことに尽きると思います。
 記者:ということは何か一律に厳正な見直しの基準があるわけではなく、個々人の判断で、この行為までなら自分は厳正な見直しをしたと判断できるということでよろしいのでしょうか。
 松野:今申し上げたとおりであります。
https://twitter.com/shin19infinity/status/1557335156033146880

 松野氏は千葉県の人なので、少し贔屓目をもちたいところなのですが、官房長官として毎日毎日、手なづけた記者からの質問ばかり受けているうちに慢心が生じたのか、あるいは、もう単にめんどくさいだけなのか、けっこうぞんざいな対応で驚きます。しかし、政権のスポークスマンがこれはないでしょう。国民を代表して質問している記者に対して、日頃口にしているような「丁寧な説明」を実践していただかないと、岸田政権の足を引っ張り、命運を決めることになりかねないと思います。

 まあしかし、何をおいても問題なのは岸田首相当人でしょう。内閣改造にあたり、「教団との関係を点検し、厳正に見直す」と言って、関係する閣僚7名を外したのに、今度は新内閣で新たに7名の関係者が入閣です。衆院の区割りじゃないんですから、「7増7減」はないでしょう。山際大臣などは、続投が決まった後になって、実は関わってましたと表明しているわけで、これでは後出しジャンケンです。しかも、記者から、岸田首相にそのことを報告したのかと問われたら、直接言わなくともこの記者会見で伝わるなどと、まったくナメきった発言をしているわけで、こんな輩は即刻罷免すべきでしょう。
 岸田さん、おとなと一緒に子どもたちも見てるんですからね。子どもに「何でこうなるの?」と訊かれても、まともなおとなは答えられませんよ、これでは……。




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