ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「世界各国美人図鑑」の目線

 今日は短く。
 先月、国民の知らないところでいかに自身がコロナ対策の陣頭指揮に腐心し、その心労による湿しんと「死闘」することになったか(私的な解釈です)を明かす自著を世に出し、めったにお目にかかれないような低評価を受けている自民党清和政策研究会所属の西村康稔衆院議員が、自身の公式サイトで、2008年から10年もの長きにわたり、「盗撮」した写真を含む、写された当人が許可したわけ(はず)もない女性たちの写真を、「世界各国美人図鑑」という名のシリーズで延々掲載し続けていたことがわかりました。

西村康稔元コロナ大臣 本人の許可なし?各国の女性撮影した“美人図鑑”が物議…その後しれっと削除 | 女性自身
西村元大臣 美人図鑑は”映り込み“と一緒?釈明しても火に油 | 女性自身

西村康稔元コロナ担当相が自身のサイトに載せた「世界美人図鑑」写真、女性の寝姿も|NEWSポストセブン 

「気持ちが悪い」 西村康稔氏HPの「世界美人図鑑」 批判浴び削除 | 毎日新聞

 清和政策研究会(いわゆる「安倍派」)に所属する(していた)他の「同志」たちの所業を引き合いに出して、腐したり揶揄したりというのも可能ですが、西村氏の場合、彼らとちがって単に「女性好き」だからこういうことをした(しでかした)わけではない気もします。

 まず、この「世界各国美人図鑑」というタイトルからして違和感満載です。わざわざ「世界各国」と冠するのは、世界中の「美人」を紹介するとしながら、実のところ、自分はグローバルにあちこち跳び回る立場の人間だと、しかも、これは私的な旅行ではなく「公務」だぞ(どうだ!)と、そういう意図を言外に読み取ることもできます。
 それから、「美人」というのは、西村氏個人の趣向がどうのという以上に、「美人」と言っておけば「大丈夫」というような、安易で見下した感覚があるように思います。これは、日本維新の会の石井章参院議員が「顔で選んでくれれば1番を取る」と言ったり、馬場伸幸共同代表が立候補予定の女性の名前を間違えて「あまりに可愛いので間違えました」?と発言したりするのとよく似ています。
維新・馬場共同代表「あまりにかわいいんで間違えた」 女性立候補予定者紹介で|社会|地域のニュース|京都新聞

 そして、何と言っても「図鑑」――これは「昆虫や恐竜ではあるまいし…」と多くの人が感じるところです(どこかの週刊誌のマネでもしたのでしょうか?)。人の肖像を掲げて「図鑑」はない…という感覚があれば、こんな単語は付さないと思いますが、彼からしたら、おそらく撮影した写真は自分の「コレクション!」で、その一部を披露する(見せびらかす?)というところなのでしょう。これでは、「キモい」と言われてもしかたありません。

 子どもを叱るわけではないので、こういうのを「おいた」と言ったらいけないと思いますが、若い時分ならともかく、齢を重ねていけば、人は、恥をさらすようなことは避けるでしょうし、だんだんと自分のことばかりでなく、人の役に立つこと、他人から喜ばれることにも、自分の時間を使いたいという気持ちが出てくるものと思うのです。まして、西村氏は「政治家」なのですから、自分のことばかり言っていて済むはずもありません。氏は日本の政治家としては「若手」の部類かも知れませんが、もう還暦を迎えようという御年です。このような人が、軽薄で子どもじみた、他者を慮るところのない発信で世の中をザワつかせることが、自身の求める政治家像なのか、よくよく考えていただきたいものです。寿命は人それぞれですが、明日はもうこの世に生きていなかったら……と考えたら、何ともばかばかしいことをしたものだと、そう思えないものなのかと。

 この件で、氏は6月3日付でHPに記事を載せ、「今後は誤解を受けぬよう…」などと「釈明」していますが、「……図鑑」を不快に思うのは「誤解」であって、「誤解」する方が間違っているということなのでしょうか。
西村やすとし オフィシャルサイト





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