ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

鹿児島の街頭演説より

 衆院選挙の投票まであと一週間となった。各種調査で選挙情勢が伝えられているが、保守盤石の千葉県の片田舎までわざわざ足を運んで、国政レベルの街頭演説を聞かせてくれる候補者はほとんどいない。まあ静かでいいと言えばそれまでだが、こんな田舎でも、近所には、通りから見えるように非与党系の選挙ポスターや看板を立てている家がいくつかある(もちろん与党のもある)。雰囲気としては前回のような自民安泰ムードはない。主要メディアが当初、与党が何とか過半数を守る見込みと伝えていたほどに、自公優勢かどうかはわからなくなってきた感じがする。
 というのも、小生の近所の家々のほとんどが購読しているらしい、大新聞である読売新聞(古紙回収日に一斉に道路前に出される古紙袋の並びは壮観ですらある!)。その、あの読売調べで、岸田内閣の支持率は、政権発足後まだ20日でこのありさまである。このペースで下がったら、一週間後にはスガ政権末期と変わらなくなってしまうではないか。
 10月 5日   支持率56%  不支持率27%
 10月15日   〃 52%    〃 30%
 10月20日   〃 40%    〃 38%

(10月20日分のみ衆院選に関心92% 無党派層「必ず投票」69% 本社世論調査 : ニュース : 神奈川 : 地域 : 読売新聞オンラインによる)

 さて、千葉県からは遠い鹿児島の選挙区・第1区の川内博史候補(立憲)の10月22日の街頭演説に立憲民主党安住淳国対委員長(宮城5区)が「参戦」し、応援演説をしているが、この動画、実によかったので、一部起こしてみる。(12分くらいから)

モイ!iPhoneからキャス配信中 - - 鹿児島1区 川内博史事務所 (@office_kawauchi) - TwitCasting

 安住こんにちは。ご紹介いただいた安住です。実は2日ほど九州に入っていて、福岡、佐賀、宮崎から今(鹿児島)3区に来て、それからここ(1区)に来ました。その前の日曜は大分1,2,3区を歩いたんで、自分はすっかり九州人じゃないかと思うようになっちゃいました(笑)。そりゃあね、私の故郷は寒いんですよ。一昨日くにを出てきたんですが、夜、小雨も降っていて10℃ちょっとで。私は今日宮崎に降りてからこっち来て、ほんとハワイかなと思うくらいで(笑)、やっぱり冬はこっちがいいですね。いや、ほんとによかったです。
 今日はわが同級生。18の時から付き合ってるんです。長いですね。もう42年間付き合ってます。ラサール高校から、秀才の誉れ高いラサール高校から…。あっ、ラサールでは早稲田に入るのは「秀才」じゃないのか(笑)、「真ん中」くらいの川内少年が来まして、東京で学生生活を一緒にやってました。あの頃は長髪で、サザンオールスターズかなんか聴いて、こじゃれた感じの男だったんです。最初見たとき、こいつちゃらちゃらしてるなあ、薩摩隼人じゃないじゃないかと思っておりましたが、全然で、哲学の勉強なんか始めちゃって。ヘーゲルなんかずっと読んでたんですよ、この人。ねっ(本人お辞儀 笑)。で、奇しくも、お互い勤め人になって、そのあと新党さきがけから一緒になって最初に選挙に出たということで。また、人生一緒。だから、川内博史と離れようにも離れられないんですね。私はこの人間とは考えも志向も違うんです。ほんとのことを言うと(笑)。それでもいつも身近に川内がいて、奥さんや家族ぐるみですから。宿舎も一緒だったこともあって、だから何もかもよく知ってるんです。だから、ほんとのことを言うと、今日はしゃべりにくい。しゃべりにくいんですが、ちょっと初めて言う話をします。
 (前の民主党の)与党の時代、私が財務大臣で、財務大臣が終わるときに内閣改造をしました。実はそのときに、今だから言いますけど、私、この人を入閣させようと思って、声をかけたんです。ある大臣にどうか、副大臣はどうかと。一回は絶対やった方がいいよと。彼、たった一人、「俺はやらない」と。「俺は権力の側につく側じゃないんだ。俺はそうなると行政の側を追求することができなくなるから、与党にはいるけど、認証されるような立場には就かない」と言って、この男、ポストを断ったんです。私はさすが「隼人」だなと思いました(拍手)。そういうところは筋金入りの野党なんです(笑)。だから、与党になったら離党するんじゃないかと(笑)心配してるんですけど。
 でも、みなさん、この男は、たった一人の命を大事にします。寄らば大樹なんて側には絶対に与しない。だから鹿児島でも相当とんがったことばかり言ってるんだろうなと想像してますよ。それでも彼は曲げずにここまで来て、こうして皆さんの信頼を得ているということは、「本物」なんだという証でございます(拍手)。
 森友問題は悲痛な犠牲者を出しました。実は私は麻生さんから遡って大臣でしたから、あの役所には私も責任があります。しかし、安倍さんのああいう問題が起きて、そして森友事件が起きて、赤木さんがお亡くなりになった。この問題を国会でずーっと追い続けてたのは川内博史さんです。今月の初め、(赤木さんの)奥さんは今まで表に出て話をすることはなかったが、奥さんは川内さんがやってきたことを一番理解していた人だから、この鹿児島に来てお話をなさったということも聞きました。信頼されているってことじゃないんですか(拍手)。手紙を出したら単に読みました、なんていうことじゃないんです。だから、私も国会対策委員長でこの問題の事実解明をするときは、川内さんにご遺族との交渉をすべてお願いをしてやってきたということです。
 政治家にはいろんなタイプがあります。いろんなタイプがあっていいと思いますが、この男は、たった一人のために自分の人生をかけられる男なんです。私は…まあ、そこまでじゃないです(笑)。私はもっと大きいことをやりたい。大きいことっていうのは、どういうことかと言うと、やっぱりね、みなさん、日本列島広いんですよ、稚内から石垣島まで、289の選挙区で自民党を倒さないといけないんですよ。一カ所一カ所にいい候補者を立てて、自民党とちゃんと対抗できる候補者を立てなけれやならない。でなかったら、野党は信頼されませんから。いい候補者をどうやって全国で立てるか。それを考えますとね、器の大きい政党で比較的幅が広くなければ人材は集まりません。…だから私は、川内さんは川内さんのままでいてほしいんです。大きな組織のマネジメントを川内さんに任せたらとんでもないことになりますから(笑)。それは私がやります(拍手)。川内さんを生かすのは私だと思ってますから。
 予算委員会でね、与党が一番嫌がるのは川内さんですから。政府は必ず明日テレビで誰が質問するんですか、総理に?って、私にこそっと訊いてくるんです。(受話器を持つ格好で)「はい、おまたせしました、川内博史です」って言うと、しーんとなりますね(拍手)。そういう政治家が一人くらいいた方がいいんです。
……
 アメリカ人はトランプさんを選挙で引きずり下ろした。率直に言ってバイデンさんが立派だから勝ったんじゃないでしょ。政治がそうやってダイナミックに動いているからこそ、アメリカはパリ協定にまた戻ってきてくれたし、…私はアメリカに学ぶところは非常に多いと思います。
 ひるがえって、日本はどうか。減反されても、農家は自民党リクルート事件が起こっても自民党ロッキード事件が起きても自民党、森友加計があっても自民党。いつでも、どこでも自民党じゃないですか。そしたら自民党は、息子立てたって何したって、国民は自民党だから、そりゃ適当にやれって話になっちゃうんですよ。
 私も川内さんもそういう政治では日本はおかしくなってしまうし…。我々がいつもくやしい思いをしているのは、行政府の権限が強すぎて、立法府がいくら言っても、日本では黒塗りの紙しか出てこないんですよ。あの人たち(行政官僚)は私たちとちがって、選挙で選ばれている人間たちではないんですよ。東大出て(国家)上級試験受かってから、ずーっと権力に居座ってんだから。そういう人間をチェックするために、みなさんは国会議員を選んで「番犬」の役目をさせるんじゃないんですか。それをいつでも自民党を選んで、自民党が黒塗りのペーパーを出す環境を守って、どうすんの、それで…。それを支持したら、役所に政治に国民が不正をやってもいいぞって言ってるようなもんだと私は思うんです。
 アメリカのようになりませんか。選挙で引きずり下ろす。…選挙でリーダーを替える。私はそういうことを日本でも実現したいと思って、率直に言いますよ、しょぼくれ役を強くしようと思って二人で頑張ってるんですよ(拍手)。
……
 岸田さんは何か人がよさそうでしょ。それで「聞く耳」がある、「聞く力」があるって総裁選で言ってたから、これはいいやと思って。確かに人事を見たら、安倍さんや甘利さんや麻生さんの言うことはよく聞いてたから(笑)、これ「スリーA」でしょ。私もそのときしめたと思ったの。私も安住だからAでしょ、だから私入れて「フォーA」じゃないかと。俺の話も聞いてくれると、信じ込んでたもんな(川内候補もうなずいて 笑)。
 だから、私は予算委員会をやりましょうって。それは冗談抜きで自民党にとってもいいことだと思いますよ。なりたての総理大臣、選べって言ったって、岸田総理大臣、何考えてんだか全然分からないから、選べないんじゃないですか。多少は国会で議論をして、選挙にならなきゃ。それを何ですか、9月に総裁選挙でわんわん盛り上げて、それで自民党自民党って朝からワイドショーで、朝から晩まで国民に見せつけたら、みんな自民党いいって思うから、その勢いで選挙やろうっていう邪な気持ちがあるから、予算委員会ぶん投げて、選挙に打って出たんじゃないんですか。それがほんとでしょう。
 これから問われるのはみなさんです。そこで「ちょっと待った」って話にならないと、これは自民党の思うつぼじゃないかと私は思ってますよ。みなさん、また自民党に300議席与えますか。また野党は100でおまえら黙ってろっていう政治がいいんですか。それよりもっと与野党が拮抗して、緊張感のある政治をつくってみませんか(拍手)。国民にとって悪い話ではないと思いますよ。

<以下略>

 比較対象で出すのも何だが、これに対し、安住氏と同じく財務大臣だった麻生太郎自民党副総裁の応援演説の断片記事がこちらである。

【衆院選】麻生太郎氏が痛烈「あちらは立憲共産党」応援演説で野党共闘批判(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース
「年金増えたのは、運用を株でやったおかげでしょうが」自民・麻生氏 [2021衆院選] [自民]:朝日新聞デジタル

 一週間後、みんなの一票でよい結果が出せることを本当に期待している。



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