ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「自民党」なるものの「体質」

 そのむかし父親は自民党員だった。特に強い思い入れなどがあったわけではなく、単なる「お付き合い」だったと記憶する。地元の自民党代議士にしてもたぶん「ノルマ」があったのだろう。党員であることによって何か「便宜」をはかってもらっていたかどうかは今や知る由もないが、「選挙の手伝いをさせられるだけだ」と言って辞めたのはおぼえている。

 2020年12月の話だが、ある「融資説明会」で参加者に自民党の入党申込書が配布されたという記事を読んだ。毎日新聞6月8日付記事より引用する。

「自民党員になれば融資」国会議員が出席した会合の一部始終 音声公開 | 毎日新聞

司会を務めた同社代表は100%政府出資の金融機関の名を挙げ、融資スキームの資料を示しながら説明を始めた。「新型コロナウイルスの影響で返済が滞っている方も借り換えができます」「平均融資額は500万~4000万円で金利は1%前後です」…「(金融機関の)担当者宛てに、弊社にご協力いただいている議員さんの秘書の方からお電話がかかります。この連絡が入って一般枠でなく別枠になります」
 議員秘書の電話で別枠になる――。突然の説明に参加者は疑問に思った。
 代表は配られた自民党の入党申込書にも触れた。「融資希望者や融資希望者を紹介する方には全員に書いていただいている。お金はかからないので気にしないで記入していただければ」「これを書けば、議員さんに強くお願いしやすくなるんです」
 代表に促され、外で待機していた男性が会場に入ってきたのは説明会から約30分が経過した後だった。その男性は自民党衆院議員の佐藤明男氏(69)=比例北関東ブロック自民党栃木県連事務局長などを経て、17年の衆院選で比例単独で初当選した人物だ。
 「ウィズコロナ、アフターコロナ、大きな目標に向かって頑張っている皆さんの力になれるよう国の方で一生懸命やらせていただく」。佐藤氏は融資や入党申込書には触れずにそうあいさつをすると、参加者らと名刺交換をして会場を出た。部屋にいたのはわずか10分足らずだった。
 代表は佐藤氏と秘書について「お二人が今回の融資をお手伝いしていただけるという形です」と改めて参加者に話しかけた。
 融資の「口添え」の見返りに自民党の党員になることが求められる――。参加した女性は、こうした流れを異様に感じた。「単なる融資説明会と思っていたが、入党を求められて驚いた。不審に思い申請は見送った」と振り返る。

<以下略>

 自民党は国会議員に年間1,000人の党員獲得ノルマを課しているらしいが、ノルマを果たすため?に融資の「口利き」をするというのには驚く。自民党はマフィアか!と思う。

 自民党ネタをもうひとつ。菅原一秀経済産業大臣の起訴(公職選挙法違反 寄付行為)である。本人は今月3日に「責任をとって」議員辞職したが、事件が発覚してから、ほぼ釈明なしで通してきた。
 昨晩NHKは次のように伝えた。一部引用する。

菅原元経産相を略式起訴 元公設秘書が証言「繰り返し現金を」 | 事件 | NHKニュース

元公設秘書「元大臣の指示で繰り返し現金渡す」
菅原元経済産業大臣の元公設秘書の男性2人がNHKの取材に応じ、元大臣の指示で、選挙区内の有権者に香典や会費などとして繰り返し現金を渡していたと証言しました。
元秘書の1人は「お金が関わる地元の会合に出席する前には必ず菅原元大臣にお伺いを立て『本日の香典はいくらですか』『新年会はいくらですか』と指示を仰いでいました。相手から要求されなくても1回当たり5000円から1万円の現金を渡し続けていました」と証言しました。
そのうえで「元大臣からは、現金を渡す際に『駐在所の警察官や自民党以外の政党の議員などが周りにいないか気をつけろ』と言われていたので、違法行為であることは認識していたと思います。政治家の事務所としては感覚がまひし常識とはかけ離れた状態でした」と述べました。
また別の元秘書は「事務所の車には香典袋や会費用の封筒がいつも10枚単位で備え付けられていて、元大臣から急に指示が来てもすぐに行けるよう準備をしていました。元大臣は起訴された事実を受け止め国民に説明してほしいです」と話していました。

元公設秘書「本人は違法行為だと認識」
菅原元大臣が略式起訴されたことを受けて、去年まで公設秘書を務めていた男性が東京 千代田区で記者会見を開きました。
元公設秘書は「菅原元大臣自身は、違法行為だと認識していたと思う。私たち秘書は元大臣から、誰に現金を渡すかや『こっそり渡して』など、渡し方も指示されていた。略式起訴され、罪に問われるのは致し方ないことだと思う」と述べました。

元秘書らへLINEで細かく指示
NHKが入手した元秘書らのLINEの画像には、選挙区内の新年会などに持参する現金の額など、菅原元大臣からの指示の内容が残されています。
このうち元秘書のLINEの画像には新年会に持参する現金の金額について菅原元大臣が「5000」や「1万」など地域ごとに細かく指示していることがわかります。
また別の元秘書のLINEのおととしの画像には、地元の支援者の父親の通夜や告別式の日程について報告を受けた菅原氏が「枕花、大」「即」などと返信し、注文する生花店まで具体的に指示していた様子が伺えます。

地元住民 祝儀など現金受け取った
菅原元大臣の選挙区、東京 練馬区の複数の住民がNHKの取材に対し、祭りなど地域の行事の際に元大臣から祝儀や会費として現金を受け取ったと証言しました。
このうち、地域の商店会の役員を務める70代の男性はNHKの取材に対し「菅原元大臣は必ず年一回の総会にあいさつに来て、5000円をお祝い金や会費として置いていった。祝儀や会費を持って何十か所もあいさつに行っていたのなら、大変な金額になると思う」と述べました。
一方で「現金を置いていくのは区議や都議を含めて、ほかの議員もやっていた。菅原元大臣は実直で頼もしく、今も期待しているので、1人だけ、やり玉にあがるのは気の毒だと思う」と話していました。
 

 「菅原元大臣は実直で頼もしく、今も期待している」という地元住民の話は、「菅原元大臣」のところを入れ替えようと思えば、アベスガアソー、何でも入る。これが自民党政治を支える「体質」の現れということか…。9日付毎日新聞の記事にも、「もっと早く辞めるべきだった」という声とともに、「あらゆる地域で枕花や祝儀を政治家が渡すことはあると思う。厳し過ぎる部分もあるのでは」という町内会会長のことばが紹介されている。
民意、検察を動かす 菅原前経産相、検審指摘受け略式起訴 | 毎日新聞

 小生の祖母が亡くなったとき、件の地元代議士本人が葬儀に現れ、「衆議院議員〇〇〇〇」と書いた香典を置いていった。その頃には父親はもう自民党員ではなかったが、もし、「もう党員でない人の葬儀には行かない」なんてことをしたら、どういうことになるか、それは代議士自身が一番よく知っている。それは人情でもある。だから手強い。



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