神奈川県が昨日(4月20日)から「マスク飲食」推進キャンペーンを始めた。InstagramやTwitterにマスク飲食をしている写真や動画を、「#マスク飲食実践中」のハッシュタグを付けて投稿すれば、抽選で毎月100名にマスク1年分をプレゼントするというのだ。県の政策局政策部総合政策課なる部署が企画元となっているこの事業に、異議を唱える人は誰もいなかったのだろうか? 「キャンペーン」という名称にも違和感はあるが、そもそも「マスク飲食」よりも優先してやるべきことをしなければ、感染を下火にはできない。「何もやらないよりはマシ」というのでは、実効性ある対策にはならないし、英知を絞り出すことを放棄している。
黒岩知事とその周りにいる人々が、このコロナ禍に全国で毎日30人も40人も人が亡くなり、神奈川県でもすでに800人近い人が亡くなっていることをどうとらえているか、このキャンペーンはそれをよく示していると受け止める。他県のことなのに差し出がましいとは思うが、未曽有の大災害に向き合っているという認識があれば、ふつうこうした発案はされないし、たとえ誰かが言い出してもどこかの段階でボツになるものだろう。黒岩知事はどこぞやの知事と同様「やってる感」を出すことを政治と取り違えているのではなかろうか。政治なんかそれ(印象操作)がすべてだと言う人もいるが、肝心の実務を忘れてもらっては困る。
過去を消すのが、今、この国のならいになっているので、ここに記録だけはしておく。
『マスク飲食』で国産マスク1年分プレゼント!~「神奈川マスク飲食」キャンペーンがスタートします。 - 神奈川県ホームページ
冒頭の文言のみ引用する。
『マスク飲食』で国産マスク1年分プレゼント!
~「神奈川マスク飲食」キャンペーンがスタートします。
本県では、新型コロナウイルス感染症対策の急所だと言われている”飲食の場”での感染防止策である「マスク飲食」を推奨しています。特に若い世代を中心に感染者が急増していることから、昼夜を問わず「マスク飲食」の実践が必要であり、「マスク飲食」を自分事として実践してもらうため、SNS(Instagram、Twitter)に「マスク飲食」を実践している写真や動画を投稿したら、抽選で賞品が当たるキャンペーンを実施します。
こういう他人事感、愚民感は先日の復興庁によるトリチウムの「ゆるキャラ」に通じるものを感じる。
平沢勝栄復興大臣は4月20日の記者会見で、
「福島県の被災者に大変申し訳ない。不快に思う方がいるような形でやったことは、心からおわび申し上げる」
と「陳謝」したということだが、「心からおわび申し上げる」という程には、悪いことをした(責任がある)と思っていないかもしれない。「不快に思う方がいる」という表現には、当然「別に何とも思っていない人もいる(んだ!)」ということを想定させる。これでは「誤解をあたえたとすれば申し訳ない」式の例の常套句と同じで、「誤解する側」「不快に思う側」がいるから「問題」になったという話になりかねない。平沢大臣自身はどうなのか? こんなんでいちいち尖ってんじゃねえよ、という認識を今は「改めた」と言えるのか?
トリチウム「ゆるキャラ」問題、平沢復興相「福島の被災者に申し訳ない」:東京新聞 TOKYO Web
……よもや同じようなことを考えているとは思いたくないが。熊谷知事、本県は大丈夫ですよね。
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