ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

スガの訪米について

 先延ばしになっていた日米首脳会談が4月16日(アメリカ現地時間)に迫ってきた。この時期になぜ日米のトップが(オンラインでなく)直接会談する必要があるのか。また、なぜ日本でなくアメリカで、なのか。おそらくアメリカ側よりも日本側の都合の方がより強いように思われる。

 「バイデンさん、7月には東京に、必ず、いいですか、必ず、来てくださいよ。欠席や代理を立てたりしてはダメですよ、絶対に。」
 「よもやアメリカの選手を派遣しないとか、そういうことはありませんよね。コロナはばっちりアンダーコントロールされてますから。」
 「テレビ局にもしっかり圧力をかけておいてくださいよ。中継は必須ですから。」

 …という具合に、オリンピックがらみでアメリカに「くぎを刺し」に行くのだと思っていたら、どうもそれだけでは済まなさそうだ。確かに、それだけだったら、日本からの来客を饗応するだけで、アメリカ側にメリットがない。

 4月10日付の「デモクラシータイムス」の中で「ニュース・ソクラ」代表の土屋直也さんとジャーナリストの北丸雄二さんはこう言っていた。

第四波! 限りなき泥縄対策 菅首相は何しに米国へ 参院補選火ぶた! WeN20210410 - YouTube

 土屋菅さんは本当に今回(直接バイデン大統領に)会うことにこだわって……。中身はどうでもいいから、とにかく会えるようにセットしろとぐいぐい外務省にプレッシャーをかけたらしいんですよ。それで、セットされた後も、とにかく晩餐会をやらせろ、と。コロナの中で晩餐会なんて迷惑至極なのに、これをねじ込んで、結局バイデンには拒否されて、ハリス(副大統領)とやることになったんですけど。そういう安倍-トランプのときと同じように、ショーとしてしか日米会談をとらえていないんですよね。だけど中身は、何も決まらないからあいさつ程度と言ってもいいんですけど、現実にはクアッド Quad * との関係で、対中軍事支援の強化をもっとしろという要求を日本は突きつけられるでしょう。具体的には、在日米軍基地に中距離ミサイルの配備を求められると思うんです。これは(日本政府は)「議題にもならなかった」と言うと思うんですけど、これを求められて、8月か9月になると思われる衆院選後に、議題として表面化する。で、受け入れると思うんですけど、中距離ミサイルを中国はこの地域に2,000発もってるんです。一方、(日本側は)米軍を含めてゼロなんですよね。これは核弾頭を搭載できるものなので、日本の米軍基地に核兵器が持ち込まれることにもなるわけで、非常に大きな政治課題なのに、こういうのは水面下でやって、晩餐会でニコニコしているところだけをテレビに撮らせるという、非常に醜悪な日米会談になると思う。
* クアッド:日米豪印戦略対話または 四カ国戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue)。2007年設立。

 北丸こういう外交儀礼というのは、国内向けのものであって、アメリカとしてはそれを国内的にはやる必要性がまったくない。やはり日本側が国内向けのショーとしてセッティングをしなければいけなかった。しかし、水面下では、今土屋さんの話に出たように、大変な要求が突きつけられてくる。これに対して、日本はアメリカと中国のことを考えたときに、アメリカとは同盟関係があるけれど、中国とは経済関係がある……。そういう中で、中国とは直接対決はしたくない、そこらへんをどうやってやるのか。
 土屋中距離ミサイルを受け入れたら、韓国がTHAAD(弾道弾迎撃ミサイル・システム)を受け入れたときと同じことになりますよ。あのとき(2017年)、中国から韓国(製品)排除令(「禁韓令」)が出て、すごい不買運動が起こったんです。中国から反発に近い制裁を受ける可能性は非常に高くて、これは難しいことになるでしょう。

 一方、日本国内のコロナ感染は第4の大波を迎えようとしている。大阪府は13日、府内で新規感染者数が1,099人と発表した。数日前の吉村知事のマスク会食や井戸・兵庫県知事のうちわ会食の勧めには正気を疑う。足元をよく見てほしい。

 尼崎の医師・長尾和宏さんが基幹病院から来たメールというのを紹介している。先週の9日付だが、けっこう衝撃的な内容だ。引用を許されたい。
 
Dr.和の町医者日記

兵庫阪神間は完全に医療崩壊しました。
在宅の死者も出ました。
今や酸素飽和度80%の方が、酸素もなしで、在宅で空かないベッドを待っています。 重症ベッドは何とか動いていますが、空いた瞬間に埋まって、一晩に15件ほどある重症転送依頼のうち1件か2件しか受けられません。 神戸大学は、挿管4名、中等症3名しか受けていません。 兵庫医大はエクモ6件含めて挿管12名、 県立加古川は12名、県 立尼崎8名、 中央市民12名で、圧倒的に重症ベッドがありません。
重症ベッド60%といいうのは、これから開く予定のベッドや、使うはずのないこども病院の重症ベッド、患者のいない豊岡のベッドもすべてカウントに入れてます。 行政の意図的な操作です。
当院(中央市民)の46床もすべて人工呼吸器対応にカウントされていますが、設備があるのは14床だけです。 今挿管患者は40代から50代の方に移行しています。 神戸はイギリス株が主でワクチンは効きます。 イギリス株はステロイドが効きにくく、一気に人工呼吸器が必要になります。 挿管されてからの経過も長く、隔離解除されても人工呼吸器が外せなくて、ICUのベッドを占拠し続けます。
できる限りのことをして人がなくなるのは仕方のないことかもしれませんが、広報の不足や実情が伝わらず、協力が得られない中で、人がなくなっていくのは本当に悲しいです。 まだ序の口だと思います。
自宅待機300人超えてます。毎日の患者発生約125人です。 うち10%は重症化するので、焼け石に水です。 神戸市重症ベッド、公称は46床ですが実働18床です。


 コロナを戦争に例えるのは本意ではないのだが、総司令官は晩餐会に出かけ、指揮官たちは敵情も把握せずにでたらめな作戦を指示して、さらに戦況を悪化させ…。結局小隊が個々の判断で敵軍と戦っている。しかも、一般の人に竹やりを持たせて…――こんなんで戦争に勝てる道理がない。
 加えて、すでに第一の「戦争」が終わって息を吹き返している相手と、将来まったく別の第二の「戦争」をしなければならなくなるかもしれないのだ。……もう、絶句である。
 


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