ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

日本型変異ウィルスのこと

 「一月万冊」の動画を見ていたら、おなじみの佐藤章さんが新型コロナの変異ウイルスの話をしていて、興味というより恐怖を感じた。変異株については、一般に南アフリカ型、イギリス型、ブラジル型……などが知られている。従来型よりも感染力が強く感染の主流になりつつあることやワクチンが効きにくいのではないかなどと言われ、すでに昨年末あたりから日本国内での感染例が指摘されてきた。しかし、どうも発想が「流入」(「外来」)であるのが気にかかる。ふつうに考えれば、外国であろうが国内であろうがウィルスの変異はあり得ることで、当然ながらの日本型の変異種について報道が妙に “抑制的” であるように感じる。

 慶応大学の小崎健次郎教授(臨床遺伝学)のチームが、この国内の変異ウイルスの追跡に取り組んでいて、3月5日付朝日新聞の記事に紹介がある。中略して引用する。

免疫避けるウイルス、国内で変異の可能性 慶応大が分析 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 ワクチンが効きにくい恐れがある新型コロナの変異ウイルスが、国内からも発生していた可能性があることが、慶応大の研究チームの分析でわかった。この変異ウイルスはこれまで、海外から流入したとみられていた。
 このウイルスは、たんぱく質の一部が変わった「E484K」という変異を持つ。新型コロナに感染したり、ワクチンを打ったりすると免疫ができるが、この変異があると、免疫が十分効かなくなる可能性が指摘されている。この変異は南アフリカやブラジルで発見され、その後日本でも見つかっていた。

 慶応大の小崎健次郎教授(臨床遺伝学)らのチームは、国内の変異ウイルスを追跡している。…….チームが今回分析したウイルスの特徴は、これまでに南アフリカやブラジル、日本で報告されたE484Kの変異ウイルスとは異なっていた。……チームは今回分析したウイルスについて、「海外から流入したのとは別に、国内で以前から広まっていたウイルスにE484K変異が入った可能性が高い」と判断した。
……国内からも発生したとすれば、今後も同様の変異ウイルスが生まれる可能性がある。小崎さんは「国内における変異ウイルスの監視をさらに強めていく必要があるのではないか」と話している。


 日刊ゲンダイは元WHO専門委員の左門新氏の話を伝えている。以下、3月9日付Yahooニュースからの孫引き。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d2d90011e8511f7db228030588a1a2743291d32

 ……ウイルスの変異は、コピーミスのようなものだ。人から人へ頻繁に感染するほど、コピーミスも起きやすい。これまで変異株は、英国型や南アフリカ型、ブラジル型など感染者が多い国で発見されてきた。日本国内の感染者は約44万人と諸外国に比べると数字は少ない。それなのになぜ、変異が起きたのか。
 ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)によると、現下のコロナウイルスは世界中で膨大な数の変異を起こしている。感染者が少ないとはいえ、実は日本でもかなりの数の変異が起きているという。ただし、今回のような重大な“性状”の変化を引き起こしそうな変異が認められたのは初めてだという。性状とは「ウイルスの感染力」や「ワクチンの効果」「重症化」などを示す医学用語だ。
「心配なのは『E484K』によく似た変異だということです。『E484K』は南アフリカの変異ウイルスの特徴で、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカら3社のワクチンが効きにくくなると指摘されています。日本で変異したウイルスに感染した場合、これらのワクチンは効果を発揮しない可能性もあります」(左門新氏)
 ファイザーなどのワクチンが南アフリカ型の変異ウイルスに効きにくいと指摘したのは英国の医学者だった。ただ、あくまでも指摘しただけで、実際に証明されたわけではない。
ファイザー社は南アフリカ型の変異ウイルスに適合したワクチンの開発を完了し、使用に向けて申請する段階まできています。同社はmRNAを使っているため、比較的簡単にウイルスの変異に対処できるのです。ただし、この新しいワクチンが南アフリカ型への使用を認められたとしても、日本で使用許可が下りて輸入されるまで1年以上かかると思われます。それだけに“日本型変異株”をしっかり監視しなければなりません」(左門新氏)


 1月に出された首都圏の緊急事態宣言は延長・再延長されているが、期限の3月21日を前に、感染者は下げ止まったままだ。毎日50人前後、すでに全国で8,500人を超える人がコロナ感染で亡くなっている。こんな未曽有の「大災害」が続いているのに、政府は1年たってもほとんど同じことをやっている。
 佐藤章さんの話では、1月に激増した感染者数が減ったのは対策が功を奏したというよりも季節変動であって、今後も感染の波は続く。これに日本型変異株の猛威が加われば、第4波、第5波のヤマは今まで以上に大きくなる危険性がある。にもかかわらず、現政府は、3月21日には緊急事態宣言を解除し、25日にはオリンピックの聖火リレーを開始するつもりだし、4月には1兆円の予算を確保したGo to を再開、7月には、無観客だろうが何だろうが、オリンピックを開催し、9月には総選挙をする意向であるとのこと。狂気である。

 いったい誰が「聖断」を下すのだろうか。これも「外来」でというわけにはいかないだろう。



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