ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

福島原発事故から10年

 蓮池透さんの「3.11 福島第一原発事故から10年」と題する「メモ」を読んだ。事故とその後をめぐる問題点を包括的に知ることができる。これを「れいわ新撰組」の投稿だからと政治的バイアスのかかった文書と見るのは早計で、それでは “もったいなさ過ぎる” 。廃炉や稼働基準などの専門的な部分はわからないが、3つだけメモ書きする。

3.11 福島第一原発事故から10年 元東京電力社員 蓮池透のメモ | れいわ新選組

1. 事故原因の究明・対応の検証 について
 多くの国民は、福島第一原発事故地震による「想定外」の大津波を主原因にして起こったものと理解している。しかし、どうもそうとは言いきれないようだ。「重要機器が津波だけでなく、地震の揺れで損傷した可能性がある」との指摘は重大だ。事故後、いまだにデブリが取り出せず、調査自体が制約される状況下での立証は難しいが、十分あり得る話ではないかと思う。

2.損害賠償 について
 過日の千葉の集団訴訟もそうだが、今の政府の悪辣ぶりを見ていると、原発事故の損害賠償が納得のいくかたちで進んでいるようには思えなかった。それにしても、たとえば、賠償請求書の些細な記載不備(たとえば住所に「福島県」や「双葉郡」がない)を理由に、書類を無効にするなど、まったくあり得ない話だ。関係ないが、デジタル改革関連法案では、「地縁」を「地緑」と間違えるなど、45カ所も誤りが見つかっているというのだから、この “非対称“ ぶりには愕然とする。
 「復興五輪」の欺瞞性にも同感だ。見えるところだけ元に戻してあとは映させない―—まるで、どこかの国のメインストリートではないか。

……どこが復興なのか。復旧さえほど遠い状態である。10市町村の旧避難区域での居住率(住民登録者数に占める現居住者の割合)は、31.8%、浪江、富岡両町の居住率は10%台にとどまり、とりわけ帰還が進んでいない。「安全神話」が崩壊したと思ったら、いつの間にか「復興神話」が跋扈(ばっこ)している。(引用)

4.汚染水 について
 どうしたらいいのかわからないが、海へ流すというのが地元の同意だけで進められる話でないのは当然だと思う。

 汚染水の貯蔵量は、2月18日現在で約124万7000トンである。一般のドラム缶に換算すれば約620万本、皇居のお堀の水の約2.6倍ととてつもない量である。 国や東京電力は、海へ希釈・放出したいのが本音であろう。汚染水を「処理水」と言い換え、「風評被害」対策の検討とすることからも明らかだ。だが、もう地元の漁協組合等の了解を得れば良いという国内に限った問題ではない。もはや、海洋放出は国際問題と化しているのだ。
それにしても、なぜ海洋放出か大気放出の二者択一なのか。石油コンビナートにあるような大型タンクでの長期保管という選択肢もあるはずだ。希釈して30年をかけて海洋放出するのであれば、大型タンク貯蔵でトリチウムの減衰を待てばいい。希釈と言うのならば、逆に海で濃縮される可能性も考慮する必要もなくもない。事故後10年が経過しても漁獲されたクロソイから、国の基準を超える500ベクレル/kgの放射性セシウムが検出されたばかりだ。
 東京電力は、貯蔵タンクの設置に限界が来ていると言うが、そんなことはない。敷地北側には7、8号機建設予定地があるし、敷地外にも広大な土地がある。……
 なお、トリチウム水と純水とでは化学的特性は同一であるが、物理的には異なる(質量、氷点など)ことから、理論的には分離が可能である。再稼働のための安全対策工事に要する何兆円ものお金を汚染水の「無毒化(トリチウム除去)」研究開発に充当すれば、実験室規模はもちろん実機ベースでの実現も決して夢ではない。
(引用)


 一点、「除染土」のことが書かれていなかったが、Twitterでお墓参りする人の向こうの隔たりに大量に積み上げられた除染土の袋が写っている写真を目にした(所在不明!)。これも秘かに各地に運ばれているかの情報もあるし、何と環境省が除染土をつかった野菜栽培を推奨しているという話もある。

除染土で野菜栽培 再利用に住民反発も―環境省・東日本大震災10年:時事ドットコム

 節目の10年だが、この山積する難題を英知と良識で乗り越えていかないといけないのだなと改めて思う。できるだけ後の人たちの負担にならないように……。



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