ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

サメ語録

 「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」——東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会会長の森喜朗が2月3日に日本オリンピック委員会JOC)の臨時評議員会(オンライン会議)で述べたと伝えられる発言だが、この日の森の話は “問題発言” のオンパレードである。

「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」森喜朗氏:朝日新聞デジタル


 ・「これはテレビがあるからやりにくいんだが。女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさくいうんですよね」
 ・「女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。……女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」。
 ・「結局、あんまりいうと、新聞に書かれますけど、悪口言った、とかなりますけど、女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた。だれが言ったとは言わないが(笑)。そんなこともあります。」

(※太字下線は当方が施した)
 
 「ニューヨーク・タイムズ」は同日、森の発言に関し、インターネット上で辞任を求める声が上がっていると伝えている。また、「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳氏聖火リレーのランナーを辞退することを明らかにした。

Tokyo Olympics Chief's Comments Draw Social Media Backlash - The New York Times
ロンブー淳さんが聖火ランナー辞退 森会長の発言が理由 - 東京オリンピック:朝日新聞デジタル
https://www.youtube.com/watch?v=3uKnDJWVTV8&feature=youtu.be



 オリンピックの開催をめぐる、最近の森の発言とそれを放置しているこの国の状況には驚かされる。しゃべればしゃべるほど民心は離れていく感じがする。まさか、メディアや関係者は森にわざと “放言” させ、貶めて、悦に入っているわけではあるまい。前日の2月2日にも森は自民党本部でこう言ったと伝えられている。

 ・「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」
 ・「われわれはコロナがどうだろうと必ず(大会を)やる。やるかやらないかの議論ではなく、どうやってやるのかと。この際、新しい五輪を考えよう」
 ・「人気タレントはあまり人が集まらない田んぼ(の沿道)で走ったらいいんじゃないか」

森会長「一番大きな問題は世論」 有名人の聖火リレー「田んぼで走ったら」 | その他競技 | スポーツブル (スポブル)


 3日、「中日スポーツ」はこれに対する国外の反応を紹介している。

【東京五輪】森喜朗会長の「必ず開催」発言に世界メディアあぜん「日本の人々に対する顔面への平手打ち」:中日スポーツ・東京中日スポーツ

 〇オーストラリアの「ニュースドットコムau」:「東京五輪のボスが、緊急事態下にある五輪の運命について公然と“とんちんかん”な主張をした」。
 〇フランスAFP通信:「大会を開催するという絶対的な決意表明の協調努力は、日本の人々に対する顔面への平手打ちだ。日本の人々は大会を推進したくないという意志を(世論調査などで)世界に発信している」。
 〇インドネシアの放送局CNBC:「コロナ変異株の脅威にさらされる中、東京五輪はゴーサイン!」(見出し)/「世界の多くの国々が再びロックダウンを強いられている中、東京五輪への疑念が湧き起こっているが、森会長の口調は自信満々だった。それなのに、外国人観客は来日可能なのか、可能ならば何人規模かなど、多くの重要な決断はいまだ五里霧中。日本は2月末まで一般の人々のワクチン接種が開始されない」。


 こんなこと、本来外国の指摘を待つまでもないことだ。日本のメディアは森の発言を垂れ流すのではなく、的確に論評して伝えるべきで、これでは日本の国際評価にかかわる(とは、思わないのだろうか?)。

 国政もオリンピックも、ふさわしい人間がトップを務めるべきなのは言うまでもない。もっとも、「ふさわしい」かどうかの基準が「サメの脳みそ」と「差別主義」では話にならないが……。



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