ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「なぜ君」5 小川さんの舞台挨拶 

 6月から上映が始まったドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか』。12月28日、『ポレポレ東中野』で最終上映を迎え、映画の主人公の小川淳也衆議院議員と大島新・監督が舞台挨拶をした。小川さん本人の希望ということで、挨拶はそこそこに、集まった方々から質問を受けることになった。この模様、翌日、早速動画(しかも、字幕付き)に上げられていて、のぞいてみたが、大変おもしろかった。

 やりとりを2つほど取り上げてみたい。

【字幕入り】『なぜ君は総理大臣になれないのか』大島新監督と小川淳也議員によるポレポレ東中野上映最終日・舞台挨拶 - YouTube


 質問者1:ありがとうございました。今日の上映含めてオンライン上映で2回観てて、厚木で親しい友人を連れて観に行って、今日で4回目なんですけど、今日観てて改めて思ったのは、小川さんが自分の言葉で思いを伝える技術を持っているというのが映画の中でも語られていると思うんですけど、それに比例してなのか、それに引きつけられてなのか、小川さんと対峙する人たちもすごく自分の言葉でしゃべっているなというのが印象的だったんです。街中で選挙活動をしているときに「イケメンみてーな顔しやがって」という、あの方ですら自分の言葉でしゃべっているし。それがもしかしたら小川さんが持っている魅力なのかなと自分は思っているんです。自分の言葉で語るからこそ、それに対する人たちもきっと自分が本当に思っていることを、上手い下手は関係なくしゃべってらっしゃるという。だからこれからもずっと頑張っていただきたいというのもありますし……。あと、これが質問なんですけど、自分の考えをちゃんと相手に伝える術を小川さんの中ではいつ持ったのか、そのきっかけになることがあったとか、そういうことは何かありますか?
 小川:ありがとうございます。思い出すことといえば、私、最初中央官庁に入ってるんですけど、そのとき同期が18人いてその中の一人が「同じことでもお前が言うと違うんだよな」とみんなの前で言われたことはあったんです。それは特に意識しているわけじゃないんですが、今となっては、たとえば国会で質疑に立つときもそうなんですが、伝えたことが伝わったと思うと、それは錯覚で、伝わったことしか伝わってないんですね。なので、話すときには極限まで相手の思考回路、相手の知識量、相手の考えるステップの踏み方、これを徹底して想像して、相手の立場に立って、相手の思考回路を想像して伝える、聞く、話す、これだけは徹底しているような気がします。

<中略>

 質問者2:ありがとうございます。2回目を観て、今日は離れて暮らしていた娘が帰省してたので一緒に観ることができました。先ほどのお父様の話を聞けてすごく心を動かされました。私の質問は、私は教師をしていて、時々保護者からのクレーム、「私はそんなつもりじゃないのに」という葛藤があって、でもやはり申し訳ありませんでしたという気持ちでまずは接するように心がけてはいるんですけど、小川先生の葛藤とは比にならないんですが、映像にも出てくるようにすごくあると思うんですが、本当に心が折れそうなときに、ご本人が本当に政治的に最初にやろうと思った思いと、日々の中で折れそうな心をどのように命つないで、失礼ながら自殺しないでよくここまでやってくださってるなと、きっと私の想像もつかないような、お父さんがおっしゃってたような怪物のような、小池さんみたいなああいうかたもいる中でやってらっしゃるのは、どのように日々をつないでやってらっしゃるのか、よろしければ教えていただければと。
 小川:深いご質問です。ありがとうございます。先生としてのお務めも本当に大変な毎日かと思うんですが、私もいろんなことで鍛えられてきた面があって、一つ重要なことは、どんな意見、どんな立場、どんな利害も、正しいか間違っているか、善か悪か、じゃないんですよね。必ずどんな意見、どんな利害にも、それなりの背景と理由があるはずです。ですから、まさにここも51対49、あるいは時として80対20、90対10、ゼロじゃないんです。どんな意見も、それは批判的であろうが、お叱りであろうが、必ず一理あるということで、尊厳、尊重をもってお聞きする、これは一つ構え方であり、コツじゃないかという気がします。さすが洞察が深いですが、私もよく思うんです。精神的にへこたれそうになったなんて、「絶望と闘っている」と言ってましたけど、それも一度や二度じゃないし、<大島:調子が悪いときありましたね。>ありました、ありました。特に更年期の症状が出たときは本当につらくて、そういうときもあったんです。今自分をメンテナンスしている最大の具体的方法は、毎朝目を閉じて自分の初心を思い起こして、ストレスが多いときはその時間がどんどん延びていくんですね。ストレスがあんまりないときは10分、15分で心が静まってすっきりするんですけど、難題を抱えているときとか大変なときって、それが30分になったり50分になったり、一番長かったときには2時間くらいになったことがあるんですよ。<大島:瞑想とかやってらしゃる……>そう、瞑想に近い状態で、それで何とか自分自身を維持しているというぐらい。私、よく申し上げるんですけど、永田町で正気を保つのは容易じゃないんです、やっぱり。でも、何とかここで闘わないと、仮に偉くなったところで役に立たないんですよね。なので、それが日々闘いです。
 あの、もう一個だけ紹介してもいいですか? このあいだ、「はりぼて」という映画のプロデューサーの方からコメントを寄せてくれと言われたんです。私、司馬遼太郎さんの歴史小説がけっこう好きで、そこに長岡の河井継之助さんという家老を描いた「峠」という小説があるんです。そこに一節出てくるんですが、「志は塩のように溶けやすい」から始まって、「男子の生涯の苦渋は、この志の高さをいかに守り抜くかにある」と続くんです。「その工夫は格別なものではなく、息の吸い方吐き方、箸の上げ方下ろし方、日常茶飯の自己規律によって貫かれておらねばならぬ」で結ばれるんですね。だから、志とか、自分の初心とか、健全さとか、正気とかということを保つこと自体、今、社会はこれだけ大変な負荷がかかっているから容易じゃないと思います。ですから、本当に自分を大事にしていただいて、自分をふりかえって、心の中の声を聴いてやる、これが一番じゃないかと思うんです。すみません、大それたことを……。ありがとうございました。


 和田靜香さんが12月30日付「日刊サイゾー」にこの模様を紹介した記事を上げているので、こちらもご覧いただきたい。

立民・小川淳也議員を追った映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』「こんなバカな奴がいるんだな」|日刊サイゾー


 小川さんは確か11月にコロナに感染して2週間くらい入院していたはずだが、その後、後遺症とかは大丈夫なのだろうか。元気そうで安心したが……。

 2021年が始まった。小川さんが国会質疑ばかりで目立ってしまうような国では本当はよくないような気もするが、今年は選挙もある。ひきつづき小川さんの活躍に期待している。



↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村