古賀茂明@フォーラム4で古賀さんと鳩山由紀夫・元総理大臣との対談を見た。古賀さんと言えば、元通産省(現経産省)の官僚で、2011年から2015年までテレビ朝日の報道ステーションで金曜コメンテイターをつとめていた。最後の出演となった2015年3月27日、放送中に「I am not ABE」のフリップを示して番組を去っていったことでも知られる。小生も後で人から聞いてアーカイヴ動画でこの「放送事故?」の様子を見た。対談では、古賀さんがこのときのことを述懐していたので、文字に起こしてみる。5年前の話だが、今もそのまま連続している……どころか、さらに歯車が回ってしまった状況が見て取れる。
古賀茂明@フォーラム4 on Twitter: "20時~鳩山さんとの対談です
急なお知らせですみません。
後でアーカイブでも視聴できますが、本日20時~配信されます。
安倍・菅政権の話や、改革の話、新しい政治勢力の話、官僚の話、いろいろな裏話・・・
https://t.co/Ye4qgwIkZK"
鳩山:……「報道ステーション」のコメンテイターとしてだいぶやっておられたんだけど、最後は、みなさんに有名となりましたが、「I am not ABE」と…。そのへんのところをお伺いしたいですね。
古賀:ほとんどの人は、「I am not ABE」と私が紙を出したから、「報道ステーション」をクビになったと思ってるんですよね。
鳩山:ああ、そうか。降ろされるのはもう決まってたんですね。
古賀:僕は何であれをやったかというと、降ろされる、クビになるのは決まったから、じゃあ裏で本当は何が起きているのか、官邸とマスコミの間でどういうことになっているのかという話を最後にして辞めたいと。でも、そういう話って途中で止められたりするじゃないですか。だから、いろいろと考えて、紙を出すというのが一番インパクトがあるかなと。おもしろいのは、「I am not ABE」と出したら、「お前は古賀だろ」って(笑)、そういうツッコミがあったんですけど。
何で「I am not ABE」って出したかというと、最初に言ったのは1月の「報道ステーション」だったんですよ。1月20日にジャーナリストの後藤健二さんがシリアでISに捕まっているというので、ISがビデオを流したじゃないですか。そのときは生きてらっしゃったんですけど、そのときにちょうど安倍さんが中東に行ってたんです。僕はそれをね、ちょっとエーっと思ったんですね。人質をとられてるのにわざわざ中東に行くかなと。たとえば、鳩山総理が、日本人がシリアかどこかで人質にとられていて、裏で一生懸命交渉しているというときに(そこに行きますか?)。1月に休みがあるから、総理大臣、どこかに外遊したりしますけど、その先を選ぶときに、わざわざそういうところに行くのかなというのがすごく疑問だったんですよ。
鳩山:彼を助けに行くというならわかりますよね。でも、逆の話ですよね。
古賀:そうです。で、安倍さん、何を言ったかというと、エジプトで大演説をやって、ISと戦う周辺各国に2億円支援をいたしますって言っちゃったんですよ。それ聞いてたISが、「それは何だ」と。奥さんと細々と交渉してたらしいんですね。それが1億円か2億円かというレベルですけど。そしたら2億ドルだから200何十億ポーンと出すと言ってるわけですから、ISから見るとこれはもうぶち壊しだと。自分たちに対して思いっきり宣戦布告したと思うんじゃないかなと。まさにそうなったんですけど。最初は、そもそも安倍さんそんなこと知らなかったのかなあと言ってる人もいましたけど、そんなことあり得ないわけで。一人二人、テレビで「これ、もし、安倍さん知ってて言ったとしたら、ちょっと問題かもしれませんね」と言った人がいたんですね。僕は「そうだ、そうだ」と思ったんです。でも、次の日からそういう人たちは一切テレビに出られなくなりましたね。で、MC(メインキャスター)とか何を言うかというと、「今、日本はテロリストと戦ってる。その戦っているときに、安倍さんの批判をするというのはテロリストを利することになる。だから慎重にしなければなりません。」と言って、批判が全部止まったんですよ。これはおかしいと思って。
あともうひとつ、『シャルリー・エブド』(週刊紙)ってありましたよね。
鳩山:ああ、ありましたね。
古賀:フランスのテロ事件(2015年1月7日パリの新聞『シャルリー・エブド』の本社にイスラム過激派テロリストが乱入し、編集長など計12人を殺害した事件)で、そのときに「ジュシ・シャルリー」という言葉がはやったんですよ。「私はシャルリーだ」という意味のフランス語で、要するに、シャルリーが襲撃されたけど、私たちはシャルリー・エブドと気持ちは一緒だ、という連帯の意思を、そういう紙をもって示すとか、You-Tubeに載せるとか。そのあと、後藤健二さんが捕まってるというビデオが流れたとたんに、世界中で「I am KENJI」という紙をもってYou-Tubeに載せるというのがワーッと広がったんですね。小さい子どもまで、こう出してね。それぐらい後藤さんを支援してたんです。僕は思ったんですけど、「I am KENJI」も大事なんだけど、安倍さんがあのとき中東で言ったことは、日本はISと戦うぞというメッセージになってるけど、日本人から見ると、テロはダメなんだけど、別に戦いたいと思ってるわけじゃない。みんなと仲良くしたいんだと。だから、ISに対して言うんだったら、話し合おうよ、何とかしようよ、っていうならいいんだけど、俺たちは戦うぞというのは間違っている。それは日本人の気持ちじゃないけど、安倍さんがそう言ってしまうと日本人はそう思ってると思われちゃって、日本人がみんな狙われる恐れだってあるわけですね。だから、そうじゃない、自分たちは安倍さんとは違うよ、という意味で「I am not ABE」というメッセージを発信しなければだめですよねと1月に言ったんですよ。そしたら、菅さんのところが激怒したみたいで。
鳩山:官房長官がね。
古賀:官房長官の秘書官二人から番組中にテレ朝に、最初は電話がかかってきて、番組中だから出られないんで。で、ショートメールでばんばん抗議のメールが入ったんですね。それで番組中から大騒ぎになって。その後も菅さんが記者会見とかでは言わないんだけれども、オフレコの懇談なんかでは、「古賀」って言わないんですね、ずるいから。「嘘八百言う奴」がいるんだけどって。そんなことでものすごく批判していて、テレ朝はとにかく耐えられなくて、もう毎日毎日早河会長と古舘プロダクションの会長が相談したりして、いつ辞めさせるみたいな話で、3月で終わりということになったから、もう一回何をやろうかなというので考えて出したのが、あの(フリップ)だったわけで。すいません、長くなっちゃって……。
鳩山:最近は「I am not SUGA」というのも出されたりして……。(笑)
古賀:あのとき僕が言ったのは、安倍さんの名前じゃなくて、菅さんの名前を出したんですよ。菅さんに叩かれてますからって言ったんですね。だから、それも是非出しとけばよかったなって。
このあと、日本学術会議の問題は、スガ首相の問題ではなく、基本的に自民党保守層の思想vs日本国憲法の戦いだという話に移っていたったが、こちらは割愛する。
↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。