ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

バッハ会長 いきり立つ

 IOCのトーマス・バッハ会長とその一行が11月17日、新国立競技場を視察するなど各所をめぐり歩いたようだが、これには五輪反対の抗議行動が付随していたことは、大手メディアではあまり触れられない。しかもその「実態」となると、さらに報道されず、自分で調べるしかない。

 新国立競技場で、「バッハ、出てこい!」「オリンピック、いらない!」などの怒声に晒されたバッハ会長は、報道陣の取材に応じ、「先が見えない中で、人々が不安や疑念を持つのは人間として当たり前。説明を続けるしかない。9カ月後は全然違った世界になっている。ワクチンも開発が近い。人間はものを知らないと疑い深くなる。だから我々は説明を続ける。大会は必ず開ける」と話したという(「デイリースポーツ」11月17日付記事より)。
バッハ会長が国立視察 反対派の叫びの中…「人は物を知らないと疑う。説明続ける」/スポーツ/デイリースポーツ online


 「上から目線」で嫌な感じはするが、対応としてはまだ穏当な部類だ。しかし、これには伏線があったように見える。前日の“失態”である。11月16日、東京都庁前でやはり抗議の声に晒されたバッハ会長は、このときは心穏やかではいられなかったようだ。これは弁護士の澤藤藤一郎さんのブログを拝読して知ったことで、澤藤さんは、共同通信と「反五輪の会 NO OLYMPICS 2020」のツィッター記事の両方を引用している。澤藤さんの記事から一部引用する。

澤藤統一郎の憲法日記 » 2020 » 11月


共同通信が「五輪反対派が都庁前で抗議」という記事を配信し、ロイターがこれを記事にした。えっ? 東京オリンピック反対運動も、その抗議集会も巷にあふれている。バッハ訪日に合わせての都庁前での抗議行動というだけではニュースとしてのインパクトに欠ける。
この、ごく小さな抗議行動にニュースバリューを与えたのは、バッハ自身である。IOC会長自らが身体を張って、小さな抗議行動に大きなニュースバリューを進呈したのだ。言わば、由々しきオウンゴールである。
記事は以下のとおり。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が東京都の小池百合子知事との会談に訪れた都庁前で16日、五輪反対派の市民数人が「オリンピックやめろ」「これ以上オリンピックに税金を使うな」などと声を上げる場面があった。
 バッハ氏は都庁に到着した際と出発する際、横断幕を持って抗議する反対派に自ら歩み寄る場面も。開催に反対の立場の人もいることを伝えにきたという女性は「優先すべきは人の命だと伝えにきたが、そこまで伝わったかどうか。五輪をやめると決断してほしい」と話した。」

さすがに共同通信は、バッハの行動について、「都庁に到着した際と出発する際(の2度にわたって)、抗議する反対派に自ら歩み寄る場面も(あった)」と、品良く書いているが、反対派(「反五輪の会 NO OLYMPICS 2020」)のツィッターでは、「歩み寄る」が、「詰め寄ってきて」「突っかかってきた」こう書かれている。

「都庁から出てきたIOCバッハ会長と一触即発!1メートルの距離まで詰め寄ってきて『おまえら意見を言いたいのか叫びたいのかどっちだ』的なことを言ってきた。どっちもだよ、オリンピックいますぐ止めろ!」
「今日11/16都庁で反五輪の会を見つけ突っかかってきたIOCバッハ会長のこの顔つき、このふるまい、写真見てください。「対話を求めた」とか記者会見で言ったらしいがどの口が?さっさと五輪中止しろ!」
「街宣を続けていると、再びバッハと他関係者が玄関からゾロゾロと出てきた。そびえ立つ都庁に反響したAbolish IOC! No Olympics anywhere! のコールが直撃。バッハは車に誘導されるが、苛立った表情でSPの静止も振り切り反五輪の会にズカズカ詰め寄ってきた! 1mの距離で一触即発! 後ろから小池百合子が慌てて止めに入る。…」

バッハという人、多分に血の気の多い人なのだろう。東京都民の、「東京五輪反対」には心穏やかではおられないのだろう。あるいは、どうしてもIOC会長にしがみついてなければならない裏の事情があるのかも。いずれにせよ、都民や日本人のオリンピックに対する醒めた気分を理解していない。


※「共同通信」11月16日付記事と「反五輪の会 NO OLYMPICS 2020」の同日付Twitter記事は下記。
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1116/kyo_201116_9940618118.html
https://twitter.com/hangorinnokai/status/1328353685659807747



 すでにIOCは非公式には五輪開催を断念していると言う作家の本間龍さんは、11月17日付のTwitter

 IOCのバッハが存在もしていないワクチンについて云々言っているが、実は来年2月に開催予定だったIOCモナコ学術会議(IOC医科学委員会主催)https://ioc-preventionconference.orgをコロナを理由に11月に延期している。身内の会議を延期しておいて五輪が開けるなんて、ちゃんちゃらおかしい。

と書いている。

https://twitter.com/desler/status/1328693368067526657

 コロナの第三波にさらされる中、オリンピック開催という“白日夢”を引っ張るだけ引っ張って、年明け1月8日、通常国会の冒頭解散をもくろむスガ政権。こうした茶番劇のさ中に限界線の毎日を強いられる病院、生活者に目を向ける政治を一刻も早く取り戻さないといけない。





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