ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

国会議員のほぼ9割が男性の国

 総務省によると、2019年10月現在で、日本の総人口は1億2,617万人。そのうち男性は6,141万人、女性は6,476万人で、女性の方が男性より300万人余り多い。
 しかし、国会議員に占める女性の割合は,2020年2月現在,衆議院で47/465人(10.1%),参議院で50/248人(20.7%)、合わせて97/712人(13.6%)となっている。下院議員(衆議院議員)の世界平均は24.9%、191か国中167番目というのが今の日本のおかれている状況だ。

 朝日新聞デジタル11月12日付記事より。※太線・下線は当方が施したもの。

「女性は野党に出して頂いて」 男女平等、遅れる政界:朝日新聞デジタル

女性議員1割の自民、増えぬ理由は
 日本が特に遅れているのが政治分野だ。衆院議員の女性割合は1割足らずで、各国の議会を比べた世界ランキングは167位。2018年には、議会選挙の候補者を出来る限り男女同数にするよう政党に求める「候補者男女均等法」ができ、翌年の参院選では候補者の女性割合が過去最高の28・1%になったが、男女同数には遠く及んでいない。
 今年9月には、自民党下村博文選挙対策委員長(当時)が「30年に党の女性議員が3割」になることを目指して、国政や地方の選挙で候補者の一定数を女性にする「クオータ制」を導入する提言をまとめて二階俊博幹事長に申し入れた。ただ、その後は導入に向けた動きは見えていない。二階氏は今月9日の記者会見で、その後の取り組みについて問われ「バックアップすることはできるが、女性議員をつくることに党が真正面からどうだと言ってみても、国民のみなさんが決めること。そう期待通りにはいかない」と述べた。
 自民党の国会議員393人(衆参両院議長を除く)のうち、女性国会議員は39人で約1割。選挙で候補者を擁立する際は、男性が多い「現職」が優先されるため、与党が女性候補を増やすのは簡単ではない、というのが党内の見方だ。野田聖子幹事長代行も9日、記者団に「野党にどんどん女性を出して頂いて、効果があれば循環していくのだろう。うち(自民)は残念ながら動かすだけの(空白区などの)キャパがない」と語った。

 野党第1党の立憲民主党は、国会議員149人(衆参両院の副議長は含めず)のうち、女性国会議員は28人で2割弱。党のジェンダー平等推進本部で、女性候補者を増やすための取り組みを検討している。選挙資金の援助や、女性のスタッフ配置などを想定しているという。だが、衆院議員の任期も残り1年を切り、すでに候補者選考も進んでいる。9月6日、記者団に女性擁立の数値目標について問われた枝野幸男代表は「理想論だけでは進まない。リアリティーある目標を掲げていくのが誠実な対応だ」などと述べるにとどめている。
 候補者男女均等法をとりまとめた超党派の「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」(中川正春会長)も、同法改正の検討を始めている。だが、クオータ制には現職らから「議員の質が下がる」といった批判もあるため、超党派での合意を得られやすい、議員や候補者へのハラスメント防止などが主な検討項目になっているという。

 一方、新たな動きを見せているのが経済界だ。経団連は9日、日本企業の役員に占める女性の割合を「30年までに30%以上」とする数値目標を初めて掲げた。いまは上場企業の役員で6・2%でハードルは高いが、少子高齢化やデジタル化など変化が激しい社会で企業が生き残るには多様性が必要で、そのためには「明確な目標設定がないと、なかなか進まない」(中西宏明会長)と考えたという。グローバル企業には、市場や投資家の視線という「外圧」も高まっている。幹部は「企業の経営のあり方を重視するESG投資が急速に広がっており、女性役員の比率が判断基準の一つになっていく」と話す。
<以下略 引用終わり>

 結局のところ、なぜ男女同数の方がよいのか(同数にしなくてはならないか)という問いが、相変わらず差し迫ったものでない(からこのままで良いという)様子がうかがえる。経団連にしても「外国の目」がなければ、数値目標などを言い出すこともないのだろうから、本質的に大差ない。

 昔学校で働いていた頃、クラス・イベントで生徒と一緒に料理をつくって会食したことがある。そのとき炊事場で調理していたのはほとんど女子生徒で、男子生徒はほぼ「高みの見物」であった。中には、「女子力を見る」などと称して鼻を鳴らしている男子生徒が何人もいたし、女子生徒の中にも「見られている」と感じる生徒が多いように感じられた。もう30年も「家庭科男女共修」をしてきた挙句が「女子力!」である。男女が仲良く調理する姿を思い描いていた自分の甘さを痛感する出来事だった。

 この国の男女不平等はかなりの「難敵」である。少々制度を改めたくらいではびくともしない感じさえする。しかし、世界の趨勢をさておくとしても、男女が対等に共同で政治にかかわれないのはおかしい。企業経営者の代表(利益代弁者)ばかりのところに、対等に労働者の代表(利益代弁者)がいなければ、企業経営者に都合の良い法律がつくられるように、男性の代表ばかりのところに女性の代表が対等にいなければ、男性に都合の良い法律がつくられる。なぜ、女性はそれに甘んじていなければならないのか。男性9割の議員構成を放置するのは、女性や女性の不利益のことは考えなくていいと言っているのに等しい。これは男性から見てもおかしい。属性の矛先が変われば、自分にも不利益や不条理が回ってくるのだから。男女の不平等に無関心な社会が、他の不平等には敏感で、是正に前向きなことなどありえない。

 自民党野田聖子幹事長代行の「野党にどんどん女性を出して頂いて」という発言は、自党に対する嫌味かも知れないが、女性議員の重鎮の発言としてはいささか情けない。自民党に「国民政党」の自負があるなら、「野党」よりも率先して女性議員を増やすべきなのは自明だ。「女性議員をつくることに党が真正面からどうだと言ってみても、国民のみなさんが決めること。そう期待通りにはいかない」などと、問題を国民のせいにして、国民とともに進んでいこうという気概のない党の「重鎮」を“お払い箱”にすることが先決だと思う。


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