ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

菅野さんのハンスト 4 菅野さんが去って

 菅野完さんのハンストは10月26日(月)に終わった。何とも言いようがないが、小生としてはホッとしている。菅野さん本人には不本意なところもあるようだが、25日間にわたって身を削ってきたのだ。今は休んでほしい。

 菅野さんが官邸前から姿を消して2日。各自がそれぞれの方法でなお抗議を続けている。黙っているとスガの違法行為を認めたことになるので、まだまだこれは言い続けなければならない。

以下、「論座」10月28日付、ジャーナリストの藤倉善郎の記事より引用する。

日本学術会議問題、菅野完氏がハンストで伝えたメッセージ - 藤倉善郎|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

<前略>
 26日。国会が招集され、菅首相所信表明演説が行われた。官邸前でそのネット中継を見終えると、菅野氏は「しょぼい! 飽きた! 帰る!」と言い放って立ち上がった。水筒からホテルオークラコンソメスープを注ぎ飲み干す。
 ガンジーのハンストに倣い当初は飲んでいたオレンジジュースを3日目から断ち、最後の5日間は経口補水液も断って水と塩とブラック・コーヒーだけで過ごしていた。コンソメスープはハンスト終了の表明だ。
 「半分勝って、半分負けた。官邸には勝ったが、日本学術会議に負けた」(菅野氏)
 スープを飲み終えると、菅野氏は周囲の人々や警備中警官に挨拶し、タクシーで走り去った。あっという間のことだった。
 足かけ25日、時間にして595時間のハンスト。体重は8.2kg落ちた。

菅野氏が去った後に

 菅野氏は終始「戦え」という言葉を繰り返した。それはSNSハッシュタグをつけて拡散することでもなければ、渋谷で音楽に合わせて踊ることでもない。群れて「楽しかった」と言い合うことでもない。首相官邸の前に大人数で集まり騒ぎ立てることでもない。
 いや、菅野氏は群れて数に物を言わせる抗議活動を否定はしていない。音楽やダンスを通じて連帯を強めることも否定していない。官邸前など直接的な場所でのものではなかったり、戦うという具体的な行動につながり切っていない状況に苛ついていたように見える。
 だから、数は決して多くはないもの「独立した個人」によるプラカードや読書というアクションの出現を「勝利」と言い切ったのだろう。
 それぞれができる限り直接的に、独立した個人として戦うこと。抗議活動の規模や勢いは、それに支えされたものであるべきで、SNSで盛り上がったり、ただ多人数を動員したりというだけでは、ガス抜きで終わりかねない。
 菅野氏の姿はなくなったが、その後にも、官邸前で読書をしたり静かにプラカードを掲げたりする人々は残った。今後も、おそらく彼ら彼女らは官邸前に立つのだろう。菅野氏自身、ハンストは終了したが死んだわけではない。この先もおそらく「戦え」と言い続けるのだろう。
 菅野氏を英雄視する必要はない。菅野氏自身が「自傷行為」と呼ぶハンストを、皆が真似る必要もない。菅野氏の存在を無視してもいい。
 ただ、彼がハンストを通じて発してきたメッセージの中身は重要だ。
 それは単に、日本学術会議への人事介入に対する怒りにとどまらない。内閣総理大臣が法を破ったことが何を意味するのか。そしてそれに対する「戦い」はどうあるべきなのか。
 本来なら、菅野氏に言われるまでもなく私たちが自問自答すべきものだ。




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