10月25日付のデモクラシータイムスを見ていたら、冒頭で、このたびの日本学術会議の会員任命拒否がどのようにして報道されるようになったか、その発端と経緯にふれている。メディアの第一報は「菅首相、学術会議人事に介入」という一面見出しの「赤旗」の記事だった。
(「記者クラブの外でスクープを追う記者魂 山田健介さん【池田香代子の世界を変える100人の働き人 44人目】」より)
記者クラブの外でスクープを追う記者魂 山田健介さん【池田香代子の世界を変える100人の働き人 44人目】 - YouTube
10月1日、参議院議員の井上哲士(さとし)氏(共産党)は自身のTwitterに次のように書いている。
「……一昨日の夜、任命名簿からはずされたという松宮孝明教授のフェイスブックの投稿を私がシェア。小木曽・赤旗編集長がそれを見て、「これは重大」とのメールが。すぐに関係者に取材し、今朝の(「赤旗」の)記事に。」
https://twitter.com/21csts/status/1311443416773918723
井上議員がシェアした立命館大学の松宮教授の投稿を「赤旗」の編集長が見たことが報道のきっかけだったということだが、これについて山田健介氏(赤旗・記者)は、番組でこう解説した。
「おそらく当事者(松宮教授)がフェイスブックに書いて、非常に多くのメディアもそれを見ていたはずなんです。実際には、これは(「赤旗」の)日刊紙の社会部が取材に動いたんですが、この日に他の媒体も同時にこれを記事にしてくるだろうと思っていたようです。ところが、どこも記事にせず、赤旗は一面のトップでドカーンとやった。それでネットで騒ぎになっていって、という経緯なんだろうと……。」
※太字は当方が施したもの。
一般紙の記者やデスクたちがこの件を知って何を思ったか(思わなかったか)は想像するだけだが、これに報道する価値を認めなかったとしたら、記者の資質を欠いていると言われてもしかたない。あるいは、「保身」や「忖度」だったら、記者の自己欺瞞で、もっと悪い。いずれにせよ、報道各社、関係者の責任は重大である。これではスガ政権の「共犯者」ではないか。
任命拒否にならなかった99人の学者の方々についても、申し訳ないけれども、似たような疑念をもっている。確かに、日本学術会議という組織体としては直後に総理大臣あての要望書を上げ、会長が文書だけはスガに届けたようだが、その後、外された6人以外の方々には何の動きもない。
毛ば部とる子さんがTweetしていたが、
「任命拒否の問題で学術会議の反応を見ていると、拒否された6人に対して任命を受けた99人が「よかった、自分じゃなかった」とホッとして目をそらす、そんな光景が浮かぶ。どこかクラスのいじめ風景と似ている。学術界のトップでこんな状況なのだから、学校からいじめなんてなくならないはずだよ。」
https://twitter.com/kaori_sakai/status/1320331639055147010
これにはまったく同感する。
99人の学者を政権の「共犯者」とまで言うつもりはないが、今、自分たちの身が「安全」なのに敢えて危険にさらす必要はないとお考えだとしたら、それは大きな間違いで、「安全」だと思っている「場所」がこのまま「安全」である保障など何もないと想像すべきだ。
こういうのが放置されて野放図になれば、「政治」的な話を公然とできなくなる。やがては、自宅の部屋で話をするときでさえ大音量で音楽を流しながらひそひそと話し、アパートではあちこちから不自然に大音響の音楽が聞こえる……などという情景が現れるかもしれない。これは半世紀前の某「赤い帝国」の姿だ。そのような情景がそこまで来ているというのは、大げさ過ぎるだろうか? もちろん、後で大げさだったという話になることを願うが……。
※後から題名を変更しました。
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