ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

菅野さんのハンスト 3 相澤冬樹さん記

 元NHK記者で大阪日日新聞相澤冬樹さんも、現在官邸前でハンストをしている菅野完さんに10月9日(金)・10日(土)の朝、話を聞いているので、ここに引用する。

 「現代ビジネス」10月23日付記事より。

日本学術会議の「人事騒動」、官邸前で“抗議のハンスト”する男が「語ったこと」(相澤 冬樹) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

<前略>
「ハンストしているんですか? どのくらい前から?」
「きょうで1週間になりますね」
「ずっとここにいるんですか?」
「晴れている日はね。今日みたいに雨の時は夜は車の中に移ります」
「今日は雨が降って寒いですからね。防寒はどうしているんですか?」
「このカッパの下に5枚着込んでいます。ホッカイロもね」
菅野さんの覚悟を感じて私は言いました。
「こんな風に体を張って行動する方は少ないですからね」
すると菅野さんは“我が意を得たり”という口調で答えました。
「口先ばっかの奴が多いからね」
そして、なぜこのような行動を取るのか持論を展開しました。その訴えに共感できるものを感じました。だから最後に「お疲れ様です」と伝えてその場を去りました。ほんの数分のやり取りだったと思います。

《なぜ体を張ってハンストするのか?》
菅野さんがハンストの状況をライブ配信しているのに、私は会話の途中で気づきました。その時の配信を見た方から、何人か直接メッセージを頂きました。
その情報によって、あの後、室井佑月さんが現場を訪れたことや、室井さんが出演する文化放送の番組「大竹まことのゴールデンラジオ」に菅野さんもリモートで参加することを知りました。
放送内容を聞いてみると、菅野さんは問題をわかりやすく話していました。
まず、日本学術会議のメンバーを首相が選ぶ権能はないこと。法律やこれまでの解釈に従えば、首相は推薦されたメンバーをそのまま選ぶしかない、と明確に語った上で、おおよそ次の様に述べました。
「向こう(政権)は、法律なんかどうでもいいと言っているわけですよ。無頼漢です。無頼漢が人事権を行使して、言うこと聞かない奴は排除すると言い放っているわけです。これは暴力ですよ。
僕は物書きですからペンは剣より強しと言いたいけど、向こうが暴力振るっている時に、ペンは剣より強しってなかなか言えない。向こうが肉体言語で来るんであれば、こちらも肉体言語で対抗しよう。だからハンガーストライキという手段を選びました」
「肉体言語」という言葉はここで登場しました。この言葉は普通は殴り合いによる会話、「拳で語る」ことを意味します。でもこの場合は「暴力には暴力」ではなく「暴力には体を張って対抗する」という意味でしょう。

翌日、10日(土)の朝も菅野さんは首相官邸前にいました。台風が近づき、雨脚が一段と強まる中で。いつものように官邸前まで走ってきた私は再び菅野さんに話しかけました。
「きょうで8日目ですね」
「そうですね」
「ハンストって、ずっと何も食べていないんですか?」
「はい。水分は取りますけど」
「いつまで続けるというメドはあるんですか?」
「ありません。ずっと続けます」
「相手は国家権力ですから簡単には引き下がらないでしょう?」
「私も引き下がりません」
食事をまったくとらず、期限も切らずにハンストを続けるというのは、並大抵の決意ではできません。命に関わる恐れもありますから軽々なことは言えませんが、私は前日のラジオ番組で話を聴いたことを伝えました。
「肉体言語には肉体言語という言葉、わかります」
ここで菅野さんの言葉に力がこもりました。
「僕はね、不偏不党とかそういう今のマスコミの言葉が大嫌いなんですよ。言論が不偏不党なんてありえないでしょう。自分たちの主義主張をぶつけ合うんだから。だから僕は肉体言語で闘うんです」
菅野さんとはこれまで籠池夫妻の取材やその後の本の出版などを巡っていろいろ因縁がありました。考えに違いがありますから相容れないことも出てきます。でも、菅野さんは言葉は過激ですが、訴えている内容には一定の理があると以前から感じていました。
この時の菅野さんの「不偏不党なんてありえない」という言葉にも、ある部分で私にも同じような感覚があります。
不偏不党、公正中立、客観報道。一見もっともに聞こえるこうした美辞麗句に隠れて、本当に大切なことを伝えていないことがあると、今の報道機関のありように疑問を感じているからです。私はそれを個人的に「悪しき客観報道」と呼んでいます。
日本学術会議への人事介入は、学術会議そのものにどんな問題があるかということに関わりなく、国家の最高権力がルール違反をしているという大問題です。
報道でもっと大きく取り上げる必要がありますが、「学者の世界のこと」と思われて世間の関心が集まりにくい。報道のトーンも弱い。そこで、この問題に関心を向けてもらう手段として、文字通り体を張ってハンストを続けながら、それ自体を情報として発信するというのも、一つの言論活動だと考えます。
<以下略>


ペンは剣よりも強く(あれ)」は本ブログの看板で、向こうが暴力ふるってるのに「ペンは……」か、と言われると、何も返せないが、さしあたって今自分ができることは“ペン”しかないので、少しでもマシ(タシ)になることを今後も続ける。


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