ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

自民党総裁選 たかまつ なな さんの記録

 たかまつ なな さん。自称?「お笑いジャーナリスト」。「株式会社 笑下村塾」を設立し、全国の学校で出張授業「笑える!政治教育ショー」を行っているという。小生がまだ現役だったら、まちがいなく連絡をとって、「出張授業」をお願いしていただろう。

 たかまつさんは、この間の自民党の総裁選を取材した「記録」を残している。そのいくつかを読んだが、記事内容について左右から“叩かれて”いるとこぼしていた。小生には“叩く”理由がわからない。“批判(批評)”がすぐに“叩く(悪罵)”にレベルアップするのが、この国の今の状況なのかも知れない。ある方は「モノを言う女性を嫌がる人は一定数いる」「くだらないレッテル張りは気にするな」と言う。そのとおり。だから、面の皮を一枚も二枚も厚くして(厚くなって 笑)、“そのたび”ごとに原点を思い返していきましょう。理解者はそこかしこにいますから。

 AERA dot. 9月14日配信のたかまつ さんの記事「自民党総裁選はなぜつまらないのか 27歳時事YouTuber「たかまつなな」が見た“眠たい”現場」を以下に引用する。
 

自民党総裁選はなぜつまらないのか 27歳時事YouTuber「たかまつなな」が見た“眠たい”現場 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)


 私は7月末までNHKの報道局でディレクターをしていた。2年4カ月ほど前に、「若者に政治を身近に届ける番組を作りたい!」と意気込んで入局した。しかし、自分の力不足で、それを実現するのには、あと10~20年ほどかかり、その時は、私はもう若者ではないことに気づき、モヤモヤしていた。NHK勤務と並行してお笑い芸人もやりつつ、YouTuberでもあった私は、今後は時事YouTuberに転身することを決め、NHKを辞めた。

 そんな折、安倍さんが辞任するかもしれないといううわさが流れ、本当に辞めた。そして、あれよあれよという間に、自民党の総裁選が行われることに。せっかくの歴史的瞬間だし、行くしかない! そう思い立ち、今度はフリー記者として取材に行くことにした。菅義偉さん、岸田文雄さんの出馬会見に駆けつけ、石破茂さんは政策記者会見に参加した。だが、記者会見の現場で垣間見たのは、おじさん政治家と政治部記者たちが繰り広げる、ただただ“眠たい”デキレースだった。

〇男社会が当然という空気

 今回は女性候補者がいない。稲田朋美さんや野田聖子さんなど、意欲がありそうな人たちも今回は断念した。候補者だけではない。会見に行くと、とにかく女性記者が少ないことに驚いた。ざっと見渡しても、1割もいない。少なすぎる。記者会見では、男性記者から経済政策、コロナ対策、外交問題、安倍政権の継承の有無などを中心に質問が飛び交う。その一方で、「女性活躍」「教育」「子育て」に関する質問は、圧倒的に少なかった。政界での女性活躍が遅れているのは、こうした場所に女性のベテラン記者を送り込まないマスコミにも責任があるように感じた。マスコミには女性が多い部署もある。人がいない訳ではない。政治の世界にもしっかりとそういう人を置くべきだ。女性活躍が遅れていると報じることは大事だが、その一因を作っているのはマスコミ自身だということにも気づくべきだろう。

番記者の異様さ

 一番嫌だなあと思ったのが、菅さんの出馬会見での出来事だった。東京新聞の望月衣塑子さんが記者会見のあり方を質問したら、司会者から質問が長いと注意が入り、菅さんは「早く結論を質問してくれれば、時間は浮くのであります」と皮肉でかわした。その時、一部の記者たちから笑いが起きた。菅さんにこびを売る笑いで、気持ち悪かった。
 記者のあり方とは一体何か。どこを向いて仕事をしているのだろう。私は望月さんの考えに必ずしもすべて共感できる訳ではない。でも、あんな笑い方はないだろう。いじめみたいな空気で寒気がした。象徴的だったのが、笑いが起きたのは前の3列だったことだ。主に番記者たちが座る席だ。私は真ん中ぐらいにいたが、真ん中や後ろからは笑いは起きなかった。普段は会見に入れない私も含め、あの姿に違和感を覚えた人はたくさんいたはずだ。たしかに、望月さんの質問は長かった。でも、望月さんと同じぐらい長かった人もいたけど、注意はされなかった。
 政治部の記者が多いから仕方ないのかもしれないが、現場の取材から見えた問題を質問する記者が少ないことも気になった。現場はこう困っている。それをあなたなら、どう変えるのか。有権者がマスコミに求めることはそういうことではないだろうか。マスコミが現場取材をしていないかといえば、決してそんなことはない。ただセクショナリズムの問題だ。そういう現場の問題意識を持つ記者も会見にきて、質問をしてほしい。女性記者がたくさん来て、女性活躍にまつわる質問をたくさんして、意識や文化が変わればいいと思った。

〇何度聞いても「国家のあり方」がわからない

 候補者とのやりとりで、私が一番問題だと感じたのは、国家のあり方が何度聞いてもわからなかったことだ。菅さん、岸田さん、石破さんの3人が理想とする国家像の違いが全然わからない。日本の何に憂い、日本の何に可能性を感じ、それらをどうしたいのか。菅さんが言う「デジタル庁」「携帯電話料金の引き下げ」「不妊治療の保険適用」はどれも、議論が必要だろう。だがしかし、自民党の総裁を決める場で語る国家像としてはあまりにも、空虚だ。私はベンチャー企業の社長でもあるが、社長はストーリーテリングをして、とにかく仲間を増やさないといけない。現代をどんな社会だと捉えていて、どんなサービスが必要で、どんな価値を提供するのか。それを語れないとスタッフはついてこない。
菅政権なら、岸田政権なら、石破政権ならこんな日本になる。どれもいいなと思えれば、そこから居酒屋で政治談議も深まる。日本の未来を考える。だがそれを示してくれないから、苦労人だから菅さん? 石破さんは酒の席でつまらないからダメ? みたいな漠然とした話になってしまう。政治家が語るべき言葉を持たず、理念を示せないのは絶望的だ。会見での3人の言葉は、ときめきがほぼゼロだった。眠かった。失言がないようにきれい事を言っているだけ。まったく心に刺さらなかった。歴代最長政権が終わった後の、初の自民党総裁選。間違いなく歴史的瞬間だ。これを目の前で見ても感動しないなんて、こんなことあるんだ。お笑い芸人の先輩の単独ライブを見た時に思う「やっぱり生のお笑いって違う。最高に面白い! 映像で見るのとは違う!」そういう感動が皆無だ。国民の皆さんにこの映像を通して自分の思いを伝えるんだ、みたいな熱気がほとんど感じ取られなかった。

〇若者を感じない現場

 71歳菅さんvs63歳岸田さんvs63歳石破さん。みんな高齢だ。若手の自民党議員が「党員投票をやりましょう」と署名提出するも党は受け入れなかった。若者の意見が受け入れられない会社は滅びる。若手が打席に立てず、引き際の悪い、おじいちゃんたちが列をなしている。時代遅れのこんな会社、私なら行きたくない。若い子たちの政治離れがすすむ訳だ。
 私の意見に対しては、世代間格差をあおり、女性を特別視しすぎていると言われるかもしれない。でも、あおらないといけないほど、若者や女性が生きにくい社会になっていることに目を向けなければならない。お年寄りでも、若者に目を向けている人はたくさんいる。しかし、3人の候補からは教育や女性に関する話題はほとんど出なかった。だから、私は声を上げて、それを書いていく。先進国でここまで教育費が少なく、男女格差が開いている国はどこにもないのだから。私たちが変えていかなくてはいけない。






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