新潟県燕市の教育長が8月21日の教育委員会で不適切な文書を配布し、発言したことの責任をとって辞任の意向を示したとのこと。
何が不適切だったのか。前後がよくわからないものの、その“問題文書”の該当部分は以下のとおり。
今のコロナ禍を短時間で解消する方法は、どこかで大きな戦争が発生することではないだろうか。中国とアメリカが自国以外の地域で戦争を始めれば、お金は動く。
コロナ騒動などそっちのけで、ミサイルの発射の瞬間が繰り返し放送されるだろう。きっと経済が上向くきっかけになるのではないか。クリミアでもいい。
紛争とか戦争が始まれば武器という商品で経済は回復するだろう。罪のない人間の命との交換である。他に何かいい策があるのだろうか。愚かな人間であり続ける限り、注目の矛先を変えることでしか事態を乗り越えられないのかもしれない。
「愚かな人間であり続ける限り……乗り越えられないのかもしれない」という達観ぶりがそもそも危うい感じだが、これを普通に読んだ人、聞いた人は、「どこかで戦争が始まれば、経済が上向いて、コロナ禍がすぐに解消する」とこの人は考えていると理解する。「誤解」を与えるほど解釈の余地のある曖昧な表現も見当たらない。
しかるに、この教育長の釈明は、「(コロナ禍の閉塞感を)打開する方法として戦争や紛争を始めてしまうのではないかという、人間の愚かさを憂えた」「文章は表現が不十分で、読み手に大きな誤解を与えたことをおわびする」というのである。
とんでもない! こっちは「誤解」はしていない。「誤解」してるのはそっち。戦争以外に「他に何かいい策があるのだろうか」って言ってるのもそっち!
それから、憂うべきは、人間一般の愚かさよりもまず自身の愚かさ。これも「誤解」してるのはそっち!
情けないのは、教育委員会の面々も同じ。8月21日の委員会で委員から何もリアクション(質問 意見ほか)がなかったことから、HPに文書を載せてしまい、おそらくこれを見た誰かの指摘によって、はじめて問題性を認識した……。本人はもちろんだが、他の委員や関係者は何をしていたのか。当日はみんなで寝てたのか。それとも、この教育長を陥れようとして9月までみんなで黙っていることにでもしたのか。
国もポンコツ、地方もポンコツ……。いや、まだ、責任を痛感して?辞任するだけ地方の方がマシなのか。もう(またしても)ゲンナリである。
「コロナ解消に戦争」発言の教育長辞任へ 不適切と謝罪:朝日新聞デジタル
「コロナ禍の解消には戦争」 新潟県燕市の教育長が発言 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル