ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

病院倒産の足音

 今日JAの新しい地域担当職員が挨拶に来た。彼の話によると、わが自治体に4人目のコロナ感染者が出たとのこと。千葉県の田舎とはいえ、朝一で東京へ通勤する住民もいる。コロナ・ウィルスと全く無縁と言えるほどの“秘境”ではないし、まして今GoToトラベルが始まって、ウィルス・キャリアが無自覚にあちこち移動しているのだから、今まで感染者のいなかった岩手県のようなところにも感染者が現れるのは“必然”だ。そう考えれば、わが自治体、よく4人で抑えられているとも思う。
 今日7月31日発表の数字は、国内新規感染者数1,520人で、昨日よりも215人増(過去最多更新)。東京都は463人で昨日よりも100人近く多い。死者はついに1,000人を超えた。7月16日の参院予算委員会・閉会中審査で参考人児玉龍彦さんが、総力をあげて対策を打たないと、「来月は目を覆うようなことになる」と警告したとおりの展開に向かっている。明日からその「来月」だが、感染者の急拡大は医療現場を疲弊させ、来月以降は「医療崩壊」どころではなく病院自体の「経営崩壊」が続発するのではないかと懸念されている。
 M&A Online の7月29日付の記事より。

「医療崩壊どころではない」コロナ下で病院の大量破綻が始まる? - M&A Online

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に起因する初の病院倒産が発生した。帝国データバンクによると、2020年7月21日に岸本整形外科医院(岡山県真庭市)が岡山地方裁判所津山支部へ自己破産を申請した。負債は約3億3000万円。
ただでさえ苦しい病院経営にコロナ禍が…
同病院は1965年に創業した診療所で、整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科の診療科目で地域医療を担ってきた。2014年12月度には約1億8000万円の医業収入があったが、その後は外来診療のみとなり2019年12月度の医業収入が約1億円にまで減っていた。
2020年3月に入ると新型コロナの感染懸念から外来診療件数が減少。4月以降の収入高は前年同月比で約20%減となり、病院運営が困難な状況に陥ったという。
全国的にも新型コロナウイルスの感染リスクを回避するために、高齢者を中心に通院を控える人が増えたとされる。5月に日本病院会など3団体が発表した「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査」によれば、4月の1医療機関当たりの医業収入は前年同期比10.5%減に落ち込んだ。
5月以降も状況は大きく改善していない。7月には東京女子医科大学病院(東京都新宿区)がコロナ禍による業績悪化を理由に夏の一時金を支給しないと労働組合側に伝え、看護師らが数百人規模で退職するのではないかとの報道もあった。
帝国データバンクによると、2020年上半期(1月~6月)の医療機関倒産件数は12件と、2011年以降の10年間では2016年上半期の11件に次ぐ少なさだった。しかし、いよいよ病院のコロナ倒産が大量発生する可能性が高まっている。
規模拡大による生き残りしか「逃げ道」なし
コロナ倒産ではないが、6月26日には医療法人丸谷会丸谷病院(北海道旭川市)が旭川地裁民事再生法の適用を申請し、7月10日付で再生手続の開始決定を受けている。
同病院は1987年に開業し、肛門科や消化器科、整形外科、リハビリテーション科、心療内科などの診療に当たっている。患者数の減少で資金ショートを起こし、民事再生による経営立て直しを選択した。負債総額は約6億円の見通し。
相澤孝夫日本病院会会長は「すでに(経営難で)ふらふらのところに、新型コロナウイルス感染症というパンチを受け、ボクシングで言えば、8カウント、9カウントまで来ている」と警鐘を鳴らすように、もともと病院経営が厳しい中でコロナ禍による患者減が追い打ちをかけている。慢性的な経営難に苦しみ、ぎりぎりの状況で踏みとどまっている病院は少なくない。
2016年4月にNTT東日本NTT東日本東北病院(仙台市)を東北薬科大学(現・東北医科薬科大学)へ、2017年4月に日本郵政<6178>は横浜逓信病院横浜市)を社会福祉法人恩賜財団済生会グループへ、2018年4月に東芝<6502>は東芝病院(東京都品川区)をカマチグループの医療法人緑野会(現・東京巨樹の会)へ、それぞれ譲渡した。日本を代表する大企業ですら、病院を維持するのは難しいのだ。
こうした苦境を乗り切るには国の支援や医療報酬の改定などの制度改正といった抜本的な医療改革が必要だが、当面はM&Aによる事業承継で経営を継続したり規模拡大による経営の「基礎体力」を強化したりするしかない。
破綻した丸谷病院も、旭川市などで病院や介護施設を展開する健康会グループから運営・資金面での支援を受けて再建に向けて動き出した。病院の経営破綻は地域医療に大きな悪影響を与えるだけに、早めに手を打つことが求められる。

 地域住民にとって受診の選択肢は今でも限られている。わが自治体も地域医療の核たる大病院がなくなり、住民はあちこち遠出しないと専門医療は受けられなくなった。小生の父親も、手術は千葉大学付属病院でとか、精密検査は旭中央病院でとか………いろいろ担当医に指示されてきた。この期に及んでさらに地元の病院がつぶれたら、初期の診察さえままならなくなる。どこに行けばいいのかという話だ。
 住民だけではない。今病院や医療従事者を手厚く遇しないでどうするのか。「アベノマスク」にムダ金を使っている間に、“カウント”がエイトかナインまで進んでしまっている病院があることを政府は認識し、その全貌を早急に把握する必要がある。



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