ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

説明責任、…以上! 安倍マネーと「交付罪」3

 アベ首相が8日夜突然、河井夫妻の公選法違反について記者団に「陳謝」し始めた。

安倍首相、法相任命の責任痛感 1.5億円「党が説明」―河井夫妻起訴:時事ドットコム

 去る6月18日、国会閉会の記者会見冒頭でさっさと済ませた国民への「謝罪」内容と比べてみれば、相変わらずの作文読み上げであり、何も変わってない………が、しいて言えば、最後に「政治資金について自民党として説明責任をはたさなければならない」という部分を付けたした。

〇6月18日記者会見
「本日、わが党所属であった現職国会議員が逮捕されたことは大変遺憾だ。かつて法相に任命した者としてその責任を痛感している。国民に深くおわび申し上げます。この機に国民の皆様の厳しいまなざしをしっかり受け止め、われわれ国会議員は改めてみずから襟をたださなければならないと考えております」。

〇7月8日談
「わが党所属だった現職の国会議員が起訴されたことは、誠に残念だ。かつて法務大臣に任命した者として、その責任を痛感するとともに、国民の皆さまに改めてお詫び申し上げたい。国民の皆さまの厳しい目が注がれていることをしっかり意識し、様々なご批判を真摯に受け止め、今後より一層緊張感を持って政権運営にあたっていく」
自民党において政治資金は厳格なルールの下に運用されている」「党として説明責任を果たしていかなければならない」

 アベ本人からすると、“………、以上(終わり)!”で、いつものようにこれで「説明責任」は“果たした”つもりになっていると思われるが、河井陣営に振り込まれた総額1億5千万にも及ぶ資金について、自民党内で説明できる人間はアベ本人以外にはいない(幹事長の案件でなければ、総裁の案件しか残っていないのだから)。「党が説明」などと他人事のように言っているが、その党の総裁はアベ自身である。……などと言うと、「いまは総理大臣として話しております」とか、“二重人格”みたいなことを言い出しそうだが……。
 しかし、「厳格なルールの下に」という部分には少々ひっかかりを感じる。1億5千万円のうち、1億2千万は政党交付金=税金、残りの3千万は党の一般会計からだと説明されている。今回の河井夫妻逮捕の買収金額は2,570万円で、少し足らないが、党の一般会計から支出された金額とほぼ同額だ。……では、1億2千万の方はどうなったのか? 全県下といっても、広報誌や機関紙の複数回発行・配布で億を超えることはあり得ないが、これは政党交付金=税金分だから、確実に証拠書類があるはずだ。
 これに関して、「デイリー新潮」がおもしろいことを書いている。7月4日付の記事の一部を引用する。

河井前法相が“もっと悪い奴がいるのになぜ”と官邸にキレた広島のお家事情 | デイリー新潮

……「河井夫妻側には自民党から1億5000万円が流れましたが、その内訳は1億2000万円が税金を原資とする政党交付金、残り3000万円が党費や献金からなる党の一般会計から出たものだとわかっています。この2種類のカネには明確に“色”がついているんです」と自民党関係者。
政党交付金は税金だから党本部のチェックはかなり厳しい。キャバクラとかSMグッズ購入とかって、その使途が記事になり大いに問題視されてきたこともあって、そういったものに政党交付金から支出されているのはできる限り避けたい。収支報告書の下書きを党本部に提出して、OKを貰わないと清書できないという流れになっている。一方で、それ以外のカネは自由度が割とあります」
 夫妻の逮捕容疑は、「県内の地方議員ら94人に投票や票のとりまとめを依頼し、計約2570万円の報酬を渡した」とされる。
「3000万円とほぼ一致するでしょ。使い途を問われにくい税金じゃない方から支出したようにも見えますよね。それにしても使い切っていないところは笑えますけれど。カネを配りきれなかったのか、ちょっと余らせたかったのか……」
 ……官邸関係者によると、……
「カネの配り方が拙劣だった……。普通は、金庫番なりカネに精通する秘書がカネを預かって、キーマンに配っていく。摘発されれば彼らだけ切り捨てられ、バッチ(政治家)は知らんぷり。当局の取り調べにも口裏合わせをして切り抜ける。その暁には、しっかり親分であるバッチが彼らを処遇するという密約があるんです。だからバッチまで司直の手が伸びない。でも、河井夫妻は自分でカネを配ってしまっていますよね、“安倍首相から”“二階幹事長から”と言葉を添えて。要するに、カネを配ってくれる人がいなかったんですね。夫妻のキャラクターをみんな嫌がって、長く仕える人はほとんどいなかった」
 地元・広島の県政関係者は、こう明かす。
「お互いの陣営にスパイを送り込んで、情報を取るってことは普通にやるんですね。去年の参院選でもそうでした。案里さんの方は頼れる人間がいなくてバイトを募集したりして対応しようとしたんです。その時点で終わってますよね(笑)。溝手さんの方はちゃんと人間が揃っているから、自前の部隊で対応できた。溝手さんから河井さんのところへ送り込んだ数とその逆とを比べると10対1くらいになっていたそうです」
 それでも参院選で案里容疑者が勝てたのは、安倍晋三首相以下、政府与党幹部が軒並み地元入りしてのテコ入れが功を奏したのと、溝手氏の年齢(77)や6選を目指すという多選批判が足を引っ張ったというのはあるだろう。
「うーん、それだけじゃないと思うんですよね。60万円を受け取っていたことを認めて丸刈りにして辞職した安芸高田市長とか、同じく150万円で辞めた三原市長とか……。あと20万円を貰っていた安芸太田町長も辞めましたけれど、みなさんホントはもっと貰ってるんじゃないのって言われてはいますね。証拠が残ってないから追及されないんでしょうが。その程度の金額で、嫌われ者の河井夫妻のために働くのかなっていうのはすごい疑問です
 * 下線は当方が施したもの

 買収の総額が本当に2,570万円なのか、大いに疑問である。水面下でいったいどんな「調整」が行われているのだろうか? 




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