まったく急であった。コロナで集会やデモができないのにつけ込んで、まさかの火事場泥棒。
6月28日から開かれていた中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が30日の夕方「香港国家安全維持法案」を可決し、深夜に公布。翌7月1日から施行とのこと。条文の中身も直前まで明らかにせず、香港の自由と民主主義を圧殺しようとするこの法律に、失望と憤りは深い。
この法律によって、香港に北京政府の出先機関「国家安全維持公署」が新設され、「国家分裂」や「政権転覆」、外国勢力と結託して国家の安全に危害を加えるなどの行為を処罰する。香港政府は北京政府の監督下におかれるかたちとなり、これまで手出しできなかった香港の民主化運動に対する露骨な弾圧が始まろうとしている。まるで1989年6月の天安門事件の亡霊がよみがえったかのようだ。
澤藤藤一郎さん他、この件でたくさんのツィートを拝見したが、多くの方がアグネス・チョウ(周庭)さんのTwitterに触れている。以下は、「澤藤統一郎の憲法日記」からの引用。
澤藤統一郎の憲法日記 » 2020 » 7月
香港の著名な民主派団体「香港衆志」は30日、解散を発表した。香港民主派の活動家に「逮捕情報」の恐怖が広がっているという。
その標的のひとりとみなされている周庭(英名 Agnes Chow Ting、アグネス・チョウ)のツィッターが痛ましい。
2020年6月28日
今日の香港での報道によると、香港版国家安全法は火曜日(30日)に可決される可能性が高い、そして「国家分裂罪」と「政権転覆罪」の最高刑罰は無期懲役という。日本の皆さん、自由を持っている皆さんがどれくらい幸せなのかをわかってほしい。本当にわかってほしい…
2020年6月30日
私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。
絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。
生きてさえいれば、希望があります。周庭
「生きてさえいれば、希望があります。」という言葉の中に、切実さと絶望の深さが見える。「自由を持っている、幸せな日本の私たち」が代わって声を上げなければならないと思う。
同じくデモシストのメンバーである黄之鋒さんもFacebookに「世界の目は、安全法が施行されたあとの私個人の状況にも注がれています。この地上から消し去られるまで、故郷である香港を守っていきたいです」と書いている。
多くのメンバーの逮捕を避けるためには「解散」「脱退」はぎりぎりの判断だったと思う。これは決してよその話ではない。
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