ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

コロナとオリンピック 本間龍さんの話

 「Monthly日刊ゲンダイ」の12月号(11月28日付動画)に本間龍さんがゲストで話していたので、のぞいてきた。

 コロナ感染がなければ、今頃はオリンピックが終わって3か月後。一年前はラグビーで盛り上がっていたが、それ以上の「祭りの後」だっただろう。しかし、今は、選手をはじめ関係者には申し訳ないが、とても来年開催してほしいという気持ちになれない。1984年のロサンゼルス大会よりも前のオリンピックの姿を知る者にとって、今のオリンピックはあまりにカネの色に染まり過ぎた。このコロナを機によい方向に進んでいくことにならないものか。

 以下、上の動画を一部おこしたものを引用する。
 
https://www.youtube.com/watch?v=AHhEeMHhkAU

今泉バッハ会長が来日する直前くらいにIOCが3年に一回モナコで開催している、スポーツにおけるケガ・病気に関する国際会議というのがあるんですけど、世界各国からスポーツ医学に関心を持つ専門家などが一斉に集まってくると。本当は今年の3月に開催される予定だったんですけど、ヨーロッパのコロナの影響などがあり、来年の2月に延期と。で、ヨーロッパの第二波で各国とも1日1万人のペースで新規感染者が出てくる状況で、来年11月(に延期)。かなりとばしましたよね。再延期したわけですね。ところが、日本に来た時には、(バッハ会長は)来年はオリンピック・スタジアムに観客を迎えられると確信していると、このバッハさんの二枚舌について、本間さんはどうお感じになっていますか?
本間まあ、結局バッハという人はオリンピックのセールスマンですよね。だからオリンピックにプラスになるんであれば平気でうそをつくと、まあ簡単に言ってしまえば。都合のいいときに都合のいい話をする人なんだなと。菅総理と会ったり東京都知事と会ったりするので、すごくえらい人のように見えるんだけれども、実はね、ただの任意団体の会長ですからね、言ってしまえば。
 自分たちが主催する医療学術会議でコロナのことを話し合えばいいわけじゃないですか。来年のオリンピックに向けてね。そういういい機会のはずなのに、平気で半年以上すっ飛ばしてしまう。でも、オリンピックはやる予定だと。典型的なダブルスタンダードなんですけど、セールスマンなんで都合のいいことを言うという印象を非常に強く受けましたね。

今泉森さんとバッハさんがそろって会見したじゃないですか。あれ見ていたんですけど、中身もなければ、言ってることもひどい、なかなかの会見でしたよね。
本間結局、コロナのパンデミックの中でオリンピック開催にとってよいニュースってないんですよね。ワクチンが間に合うんだというんなら話は別ですが、そういうのもまだない。開催国日本の感染状況もどんどん悪くなっている。
今泉バッハさんが日本を去ってからピークを迎えたりして……。
本間いきなりドンと数字が上がって。またいつもの、これかよという。3月もそんなようなことやってましたから。で、あの会議の冒頭でロイターでしたか、森会長に、あんたのところに裏金が流れたよねって。それに対して、「いや、俺は事務方じゃないから知らない」って。それ、日本の国会でしか通用しないからって。そういうんで、森さん、出鼻をくじかれた感じで、ずっと不機嫌でしたよね。でも、ああいう会見になるのは目に見えていたんだけど、(オリンピックの)スポンサーになっている日本の全国紙がちゃんと切り込まないので、翌日、菅首相とかバッハとか森が、来年絶対やると(言ったと)いうのだけを垂れ流す、そういう報道になっていることが一番問題なんでは、と思います。

<中略>

本間現場の組織員会の方で僕に情報をくれる人がいるんですけど、そういう人たちとその周りにいる組織委員会の人たちは、もう(東京オリンピックは)できないでしょうって思ってるんですよ。それなのに、仕事は機械的にふってくるので、やるのが辛いと、精神的にね。
……あと予算的に3兆円を超えていくだろうというとんでもない金額になりつつある。もともと招致した時は7千5,6百億円でコンパクト五輪と言っていたのに、3兆円越えで、コロナ対策費でいったいいくらかかるのかもわからないんですね。これ国民の世論的に、コロナで仕事を失って、自殺される方も非常に増えている。で、一人親の方が仕事ができなくて苦しんでいると。そういう状況の中で、そういう人たちを国家が救うことを放棄、いやまあ、救えていない状況の中で、オリンピックにだけは数千億投入するぞ、というのがね、お祭りにですよ、パラリンピックを入れてたった4週間。そこに数千億を投入するのに、苦しんでいる国民は救わないということで、はたして国民に喜ばれるオリンピックになるんですか、ということなんです。ふつうならないですよね。そこが優先順位があまりに違い過ぎるんじゃないですか、と。僕はそういう気がしていて、テクニカルに見ても、オリンピックは99%無理だと思っているんですけど、そういった心情的な部分を含めると、今回の東京オリンピックはやっちゃいけないなと思ってるんですね。選手たちにはもちろん同情しますが、その前に日本がおかれている窮状を何とかすべきじゃないかと思います。



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1か月後、病院の風景は……

 昨日は延び延びになっていた検査を受けるため父親を病院に連れて行ったのだが、びっくりするほど人が多かった。ここは病床のない小さな病院だが、検査の間様子を見ていると、医師も看護師も決して広いわけではない処置室にいる患者のもとをせわしなく往復していて、それはもう見ているだけで頭が下がる思いがした。うちの父親の場合は、予約していた検査なので昼前くらいには終わったが、待合室にはまだ大勢の人が残っていた。中には長時間待たされているのだろう、事務職員に自分の順番を確認する人も見えた。双方ともにやりとりは柔らかく、救われる思いがしたが、いつもそういうわけにはいかないだろうと思う。2日前にも別の病院に連れて行ったが、ここも患者が多く、看護師さんは忙しそうに動いていた。病院はどこも大変そうだ。

 新型コロナの感染者は増加し続けていて、このままでは医療体制が崩壊すると、医師会をはじめ多くの専門家が警告している。病床を確保したとしても、相応の人員(”マンパワー”?)を確保するのは困難だという。昨夜のTBSのNスタで、具体的にはどうやって人員を確保するのかという問いに、出演していた専門家は、病院内の他(科?)から人を集めてくるしかない、というような話をしていた。学校で言えば、英語の授業に、授業のない空き時間の社会や数学が専門の先生に来てもらってサポートしてもらうという感じだろうか。しかし、社会や数学の先生が生徒に個別に英語を教えて大丈夫だろうかという不安は先生・生徒の双方にある。これは病院内でかり集められた人たちも同じではないだろうか。機器の取り扱い、患者への対応……。また、人員をもっていかれた科はどうなるのだろうか。総合病院で言えば、内科はやるが外科は閉鎖するとか、一時的かもしれないが、コロナ患者を受け入れている病院では、そういう診療科の取捨選択をせざるをえなくなるのではないか。

 東京新聞11月26日付の記事より引用する。

ばらまかれるコロナウイルス…感染急増で崩壊迫る医療現場…危機感ない政府にいら立ち:東京新聞 TOKYO Web

◆病床も医療従事者も足りなくなる
 病床は埋まり始めている。重症者は24日現在、全国で376人で、1週間前と比べて100人増えた。
 感染ピーク時に受け入れ可能な病床数からすると余裕はあるようにみえるが、ピーク時の病床数は、都道府県が医療機関から聞き取った受け入れ可能な最大ベッド数を足したもの。いわば「目標値」だ。
 座長の脇田隆字たかじ国立感染症研究所長は24日の記者会見で「病床が箱として準備されても、そこには医師や看護師が必要だ。そういった人たちを簡単に増やせるわけではない」と強調した。日本医師会の釜萢かまやつ敏常任理事も「これ以上の病床を用意するのはとても無理という感じ」と語った。

◆東京が一番大変
 「病床の逼迫ひっぱくは東京が一番大変」。専門家組織のメンバーの一人はそう話した。東京都の重症者用病床は150床あり、使用率は4割弱だが、都立駒込病院の今村顕史医師は24日の専門家組織の会合で「ベッドがあっても対応するマンパワーの問題で、いっぱいまでは受け入れられない」などと説明したという。
 都福祉保健局の担当者に確認すると、重症者が少しずつ増えていけば対処は可能だが「一度にとなると難しい」と説明した。1日に20人、30人と重症者が増えていけば、受け入れられなくなる可能性がある。現在、軽症者はホテルや自宅療養となり、入院するのは中等症以上で、1人の患者をみる負担が重くなっている。
 日医の中川会長は25日の記者会見で「コロナ患者を受け入れるために、脳卒中心筋梗塞など、他の疾患の受け入れが困難になりつつある」と話した。

◆「GoTo調整なんてしている暇ない」
 医師ら専門家と政府の温度差は大きい。24日の専門家組織の会合後、メンバーの1人は「政府のいろいろな方に、非常に強い危機感がちっとも伝わらない。悲痛な感じ」と話した。2週間、3週間後の医療体制を維持できる見通しが立たないという。
 「ピンポイントでこれをやれば、感染拡大が止まるという状況ではない。ウイルスが地域にばらまかれている」と感じている。「国と知事がGo To トラベルで調整なんてやっている暇はない。移動制限が必要だし、飲食店の営業時間短縮を強力にやらないといけない」と訴えた。


 感染阻止には「初動」が肝心だということは、第一波の際に痛感することだった。大型クルーズ船内の感染者への対応、春節だった中国ほか、外国からの入国遮断など……迅速に対処すれば、2月3月の国内感染は相当抑えられたはずだった。スピードではなく、スピードが大切なのだ。
 また、感染がいったん落ち着いても、第二、第三の波は必ず来ると言われていたのだから、感染が下火になった6月頃に、次の「波」に備えて、準備を整えておく必要があった。ところが、医療体制を整えるよりもGo to に前のめりになり、東京をこれに加えたために、感染が下がりきらないうちに大波に襲われているというのが現状だ。市中感染が広がり感染経路不明が多数になっている状況では、Go to の中断どころか、人の移動そのものを管理しなければ抑制効果は上がらないだろう。「非科学的」なことばかり続けているのに、エビデンス(科学的根拠)があるとかないとか、それでいて、火事場泥棒のように国民投票法の改正とか、……政権が替わって3か月だが、あきれるばかりだ。

 昨日、先生は終わり際に「○○さん、また年の瀬にお会いしましょう」とおっしゃった。ほとんど耳の聴こえない父親だが、先生の笑顔はわかったようで、にこにこしながら診察室をあとにした。「これからの3週間が感染拡大を抑制するため極めて大事な時期だ」そうだが、医師と患者のこういうやりとりが一か月後もふつうであることを願う。




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うそをつかれた「クレタ人」?

 「クレタ人はみんなうそつきだとクレタ人が言った」というパラドクスがあるが、「うそつきが自分はウソをつかれたと言った」というのはそういう「高尚」な話ではないし、別に矛盾もしていない。単に「ウソをつかれた」という「うそ」を言っているに過ぎないのだから。これは、論理の問題ではなく、「自分」の“うそ”を「他人」のせい(“ウソ”)にしようとするモラル(の欠如)の問題だ。……などと書いているとバカバカしくなってくる。まともな人間同士の話ではない。

 桜を見る会の前夜祭をめぐる虚偽答弁が疑われているアベ前首相の周辺?は、前夜祭の費用の一部を事務所が負担した事実をアベ本人が国会の場で否定したことについて、「当時、秘書が安倍首相に虚偽の説明をしていた」と言い始めた。答弁前にアベが秘書に「事務所が支出していることはないか」と何度も確認していたのに、秘書は「払っていない」と虚偽の説明をしたというのである。ウソの連鎖でまた他人が巻き添えにされようとしている。

 今後の展開について、「週刊朝日」11月24日付記事には次のようにある。

安倍前首相の公設秘書ら20人近く事情聴取 「桜を見る会」疑惑で本気モードの検察 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

<前略>
補てんが事実ならその説明は真っ赤な嘘ということになる。検察の捜査次第では、政局に大きな影響を与えかねない。これまで政権が頼ってきた“官邸の守護神”と呼ばれた元東京高検検事長、黒川弘務氏は5月に賭け麻雀問題で失脚。自民党幹部が不安な胸の内をこうぼやく。
「黒川氏がいれば、こんな面倒なことにはならなかったと思うよ。今になって黒川氏の存在がいかに大きなものだったのか痛感するね。菅首相だって黒川氏に頼って政権運営してきた。心配でたまらないと思うな」

 もう一つ、注目されるのは、安倍前首相への事情聴取だ。前夜祭の主催は「安倍晋三後援会」で、その代表は安倍前首相の公設第一秘書だ。
「公設第一秘書から安倍氏が関与という証言があれば、そりゃすぐに事情聴取となるでしょう。安倍さんには秘書の監督責任政治資金収支報告書をチェックして正しいものか把握する義務はある。それについて事情を聞くということはあり得る」(前出の捜査関係者)
また野党・立憲民主党の幹部はこう話す。
安倍氏の国会答弁はウソだったことが明白だ。事件としても問題だが、国会で総理がウソを堂々とついていたというのは、とんでもないこと。今度こそ国会で証人喚問すべきという声もある。菅首相官房長官として、安倍氏のウソに加担していたかもしれません。同罪ですよ」

 前出の自民党の幹部はこう話した。
「これまで黒川元高検検事長を通じて、検察を抑え込みすぎた結果かもしれない。その重しがなくなったとばかりに、検察が一気に政治家へ向かってくることもありうる。安倍さんを事情聴取、事件を立件となれば、官房長官だった菅首相の責任も問われる。本当にまずいよ」

 「自民党の幹部」って誰だろうか? 「本当にまずいよ」って、誰にとって「まずい」のだろうか?

 最後に11月25日付のなすこさんの漫画を引用させていただく。あいかわらず冴えてるなあ。

なすこ on Twitter: "#令和の歴史教科書
#GoToJail… "



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